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新たに開発されたインスリンンの経口薬、マウス実験で有望な結果に

新たに開発されたインスリンンの経口薬、マウス実験で有望な結果に
The University of British Columbia

口から飲むことができるインスリンの薬が開発され、マウスに対して実験が行われた。

 

インスリンのほぼ100%が肝臓に直行

 

この経口薬を開発したのは、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究者チームだ。

 

彼らは新しいインスリンの錠剤が、注射されたインスリンと同じようにマウスに吸収されることを実験で確認したという。

 

以前、飲用可能なインスリンを開発しようとした際には、インスリンのほとんどがマウスの胃に蓄積されていたそうだ。

 

しかし今回の錠剤から出るインスリンのほぼ100%が、理想のターゲットとされる肝臓に直行し、2時間後に飲ませたラットの胃の中には、インスリンがまったく見つからなかったという。

 

開発のきっかけは糖尿病の父親

 

インスリンとは、血糖値を下げる働きのあるホルモンのこと。食事によって血液中のブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンが分泌され、その働きによりブドウ糖は筋肉などへ送り込まれ、エネルギーとして利用される。

 

しかし1型糖尿病患者などは、すい臓からインスリンがほとんど分泌されなくなるため、ほぼ毎食前にインスリンを注射する必要があったという。

 

また2型糖尿病では、筋肉や肝臓でインスリンが働きにくくなったり、インスリンの分泌が少なくなったりした時に、注射によって補う必要が出てくる

 

今回の研究に携わった、土地・食料システム学部の研究責任者であるアヌバブ・プラタップ-シン氏も、非注射型インスリンを探すきっかけとなったのは、過去15年間、1日に3〜4回インスリンを注射している糖尿病の父親だったと説明している。

 

吸収率を上げる方法を考案

 

今回、研究チームは、インスリンのより高い吸収率を促進する場所と方法を解決するために取り組んだという。

 

そして歯茎と頬の間に置くと溶ける、異なる種類のインスリンの錠剤を開発したそうだ。これは頬の内側と唇の裏側にある薄い膜(頬粘膜)を利用する方法で、インスリンを無駄なく、分解せずに肝臓に届けることができるという。

 

そもそも注射の場合、1回に必要なインスリンの量は100iu。しかし胃の中に入れる飲み薬の場合、500 iuのインスリンを必要とするが、ほとんどが無駄になってしまうため、この点を改善する必要があったそうだ。

 

しかも今回、研究チームが開発した経口投与錠剤は、速効型インスリン注射と同様に、30分後に吸収され、約2〜4時間も長持ちするという。

 

もっともこの経口薬については、まだ人間に対して試験が行われていない。これを行うためにはさらに時間、資金、協力者が必要だとされている。(了)

 

出典元:The University of British Columbia:UBC team developing oral insulin tablet sees breakthrough results(8/30)

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