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駐豪ウクライナ大使、両軍の兵士が抱き合う壁画を批判、撤去を要求

駐豪ウクライナ大使、両軍の兵士が抱き合う壁画を批判、撤去を要求
Twitter/Vasyl Myroshnychenko

オーストラリアの町で、ある壁画が描かれ、ウクライナの大使が批判している。

 

ウクライナ兵とロシア兵が抱き合う

 

その壁画が出現したのは、ビクトリア州の州都・メルボルンだ。

 

その絵には、ウクライナ兵とロシア兵とみられる人物が、抱き合っている様子が描かれていた。

 

オーストラリアに駐在しているウクライナ大使のVasyl Myroshnychenko氏は、この絵が「全てのウクライナ人にとって全く不快」であり、作者は「ロシアのウクライナ侵攻について何の手がかりも持っていない」と述べた。

 

その上でツイッターにおいて「この壁画は、被害者と加害者の間に同等性(等価性)があるという、誤った感覚を生じさせる。速やかに撤去されなければならない」と投稿したという。

 

被害者と加害者を対等に描くのは危険

 

シドニー大学でデジタル文化の講師を務める社会学者、オルガ・ボイチャック氏は、こうした同等性が危険な理由は「両者が武器を置くことに合意すれば、平和が実現すると暗示するからだ」と指摘している。

 

またボイチャック氏は「今までに、ウクライナが戦闘をやめたらどうなるか、は誰もが知っている。だから、この『アート』は抵抗の生きた経験を委縮させる」とツイートした。

 

さらに、ロシアで描かれた絵にも同様の比喩的な表現が見られ、それらが被害者と加害者を対等な立場で描いていると指摘。

 

その上で作品を描いた人物に対して「もしあなたが平和のビジョンに貢献することに興味があるアーティストなら、ウクライナのポストコロニアル(植民地後)の歴史を読み解くことは素晴らしいスタート地点になるでしょう」と述べている。

 

作品の意図は「平和を促進すること」

 

一方、この絵を描いたアーティストのピーター・シートンさんは9月4日、この作品について謝罪。彼は、一部の批評家がほのめかしたように、自分はロシアの組織とは何の関係もないと主張した。

 

さらに絵の意図にについて「平和を促進すること」だとし、次のように述べたという。

 

「私は純粋に、人々の一体感や、私たちは皆一つであるという、精神的な考えを持った人間です。(略)私は、自分たちには根本的に、共通点がないことよりも共通点が多いという、その理想から動かずに墓の上で死んでいくでしょう」

 

シートン氏は、作品の写真をNFTとして販売し、利益は戦争廃止団体であるWorld Beyond Warに寄付されると述べていたという。(了)

 

出典元:The Guardian:Ukraine’s ambassador to Australia calls for removal of ‘offensive’ mural of Russian and Ukrainian soldiers(9/4)

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