ヘビのいる川から人を救おうとするオランウータンが感動的
ジャングルの中、野生のオランウータンが、川の中の人に向けて手を差し伸べる——こんな映画のようなシーンが現実に撮影され、SNSや海外メディアで話題になっている。
アマチュア写真家が遭遇した場面
写真が撮られたのは、インドネシアのボルネオ島。撮影者はAnil Prabhakarさんという地質学者だ。
アマチュアの写真家でもあるPrabhakarさんは、その日、カメラを持ってジャングルに分け入っていた。友人と2人で進んでいると、川の溜まりの中に立っている人を見つけたという。
水に胸まで浸かっていたその人は、後でわかるのだが、ジャングルを管理する自然保護団体の監視員だった。彼は溺れていたわけでもなく、水から上がれなかったわけでもない。「川に毒ヘビがいる」という報告を受けたため、それを見つけて駆除しようと川に入っていたそうだ。おそらく相応の準備をしたうえで、川岸の叢に潜むヘビを探していたのだろう。
そこにオランウータンが現れ、救いの手を伸ばした。オランウータンの心は読めないが、その監視員が窮地に陥っていると思ったに違いない。
ちなみに毒ヘビはオランウータンの天敵で、その毒ヘビがいる川岸はオランウータンにとって危険な場所だそう。監視員が所属する団体は野生のオランウータンを保護する「ボルネオ・オランウータン生存財団(BOS)」で、毒ヘビ駆除はオランウータンを守るためだったとのこと。
手を拒否した監視員
この写真は日本のメディアも取り上げているが、そこで詳しく報じられていない話がある。
写真が撮られた後、監視員がどうしたかというと、救いの手を拒否したという。撮影者のPrabhakarさんがその様子を見ており、海外メディアにこう話した。
(監視員が作業していると)オランウータンが川岸に来て、様子を見ていました。それから彼に近づいて、手を差し出したのです。
監視員はそれに応えず、ただ体を遠ざけただけでした。後からその理由を尋ねたところ、「彼らは完全に野生なんだ。(手を取ったら)どう反応するか予想できない」と言っていました。
野生動物を守る仕事もなかなか厳しいものだ。(了)
出典元:Metro:Orangutan offers to save man’s life thinking he had fallen into snake-filled water(2/7)
出典元:The Mercury News:Viral photo: Wild ape reaches out to man in snake-infested water(2/7)