ヨーロッパ南部で猛暑に警戒、イタリアでは気温48度の予想
日本でも連日、暑い日が続いているが、ヨーロッパ南部でも高温が続き、警戒が呼びかけられている。
イタリアではレッド・アラートを発令
特にイタリア、スペイン、ギリシャではすでに数日前から高温が続いており、イタリア保健省は7月15日、ローマ、ボローニャ、フィレンツェなど16都市に対し、レッド・アラート(赤色警報)を発令した。
イタリアのメディアによれば、サルデーニャ島では48度の気温が予想され、熱波は今週まで続くと予想されているという。
ヨーロッパでの最高気温は、2021年8月にシチリア島で記録された48.8度(119.8F)。イタリア気象庁は、サルデーニャ島が今週の熱波の「震源地」になると発表した。
イタリアの気象学者であるジュリオ・ベッティ氏も「気温は7月19日から23日にかけて、イタリアだけでなく、ギリシャ、トルコ、バルカン半島でもピークに達するだろう」と述べている。
「いたるところに救急車」
イタリア政府は、レッド・アラートが発令された地域にいる人に対し、11時から18時の間は直射日光を避け、高齢者や体の脆弱な人には特に注意するよう勧告した。
ローマでツアーガイドをしているフェリシティ・ヒントンさん(59歳)は、次のように述べている。
「ローマはいつも暑いのですが、今回はいつもよりずっと長い間、一貫して暑いです。ツアーガイドの友人と私は非常にストレスを感じています。ツアー中に失神する人が続出し、いたるところに救急車が出動しています」
ローマ在住のエレナさん(62歳)も、2003年頃から夏の気温が「著しく変化」していることに気づいており、それ以来「気温は指数関数的に上昇している」と語っている。
ギリシャでも連日40度の気温
一方、ギリシャでもここ数日、40度以上の気温に見舞われているという。
ギリシャで最も人気のある観光名所、アテネの「アクロポリス(神殿)」は、観光客を保護するため、14日と15日の最も暑い時間帯に閉鎖されたそうだ。
熱波が原因で、森林火災が拡大
スペインでも猛暑が続いているが、15日の朝には、カナリア諸島のラ・パルマ島で、森林火災が発生。現在までに4500ヘクタールの土地が焼け、少なくとも2000人が避難を余儀なくされた。
カナリア諸島地方政府のフェルナンド・クラビホ議長は、少なくとも12棟の家屋が焼失したとし、火災が急速に拡大した原因は「風や気候条件、そして我々が経験している熱波だ」と述べている。
スペイン陸軍は150人の消防士を投入し、鎮火に努めており、隣島のテネリフェ島からも応援が来ているそうだ。
ヨーロッパの熱波は今週後半にはバルカン半島にまで及ぶとみられ、セルビアやハンガリーのようないくつかの国では、すでに日中の気温が35度前後を記録しているという。
「平年並みの夏が珍しくなる」
気象学者のベッティ氏は、次のように述べている。
「ヨーロッパの夏はここ数年、ずっとずっと暑くなっています。私たちが心配しなければならないのは、猛暑や長引く熱波のない夏がもはや存在しないということです。平年並みの夏が珍しくなっているのです」
EUの気候監視サービス『コペルニクス』によれば、先月は6月としては記録的な暑さだったという。
また世界気象機関(WMO)も、温暖化による異常気象は「残念ながら新しい常態になりつつある」と警告している。(了)
出典元:BBC:Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe(7/15)