パラグアイ外務省、台湾との断交を迫った中国特使を国外追放
南米のパラグアイは先日、内政に干渉したとして、中国特使を国外へ追放した。
ビザを取り消し、国外退去を求める
パラグアイ外務省は12月5日、声明を発表し、ユネスコ年次会議のためにパラグアイに滞在していたラテンアメリカ担当の中国特使・Xu Wei氏のビザを取り消したと発表した。
また台湾との断交を求め、内政に干渉したとして、同特使をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に指定。24時間以内に、国外へ退去するよう命じたという。
この前日、Xu特使はユネスコ会議を欠席し、パラグアイの連邦議会に出席。国会議員に対し、台湾と断交するよう呼びかけ、外交上の物議を引き起こしたそうだ。
南米で唯一、台湾を国として承認
パラグアイは南米で、唯一台湾を国として承認しており、世界で承認している12カ国のうちの1つとされている。
中国は近年、台湾を認めないようさまざまな国でロビー活動を活発化させており、すでにラテンアメリカの4カ国、ホンジュラス、パナマ、ドミニカ共和国、エルサルバドルは中国を支持し、台湾との関係を断ったという。
中国政府は「1つの中国」といった原則を掲げており、各国に中国か台湾、どちらと正式な外交関係を結ぶのか、と迫っているそうだ。
実際、今回国外追放された特使も、パラグアイの連邦議会において、国会議員らに対し「中国か台湾かだ。パラグアイ政府ができるだけ早く、正しい決定を下すよう勧める」と訴え、中国との貿易拡大の可能性をちらつかせたという。
パラグアイの一部の国会議員は、農家が中国に大豆や牛肉を輸出するのに苦労している点を挙げ、長期的には外交関係の転換が自国に利益をもたらすと主張している。
パラグアイと台湾との友好関係は1957年に始まり、パラグアイの首都・アスンシオンにある近未来的なデザインの連邦議会の建設も、台湾が資金援助をしたと言われている。(了)
出典元:The Guardian:Paraguay kicks out Chinese envoy after he urges country to cut ties with Taiwan(12/5)