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EUが「ゼロ対ゼロ」の関税協定を提案、トランプ政権は前向きな姿勢を示さず

EUが「ゼロ対ゼロ」の関税協定を提案、トランプ政権は前向きな姿勢を示さず
X_Visca Jones

ヨーロッパ連合(EU)は以前から、「ゼロ対ゼロ」の関税を提案してきたが、アメリカ側は乗り気ではないようだ。

 

自動車と工業製品の関税をゼロにする案

 

トランプ大統領は、これまでアメリカが物を買わされ、逆に他国の高い関税のせいで、自国製品の輸出が伸びないとして、貿易赤字を減らすため、相互関税を発表した。

 

しかしEUは、この発表の数週間前から、自動車と工業製品に関する「ゼロ対ゼロ」の相互関税協定を提案してきたという。

 

EUの貿易担当委員であるMaros Šefčovič氏は、2月19日に行われたアメリカのハワード・ラトニック商務長官との初会談で、自動車と医薬品、ゴム、機械などのさまざまな工業製品に対するゼロ関税を提案したそうだ。

 

ただし、Šefčovič氏は「EUは引き続き、この交渉に前向きであり、交渉を強く望んでいるが、いつまでも待つつもりはない」とも語った。

 

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トランプ氏は乗り気ではない様子

 

一方、トランプ氏は、EUの提案に乗り気ではない様子で、4月7日の記者会見でも、「ゼロ対ゼロ」関税は実現しないとし、「EUは我々に対して、非常にひどいことをしてきた」と述べた。

 

そもそもトランプ氏は、貿易相手国に高い相互関税をかけ、輸入品を減らし、その分国内の製造業を活性化させようとしている。そして最終的には、アメリカ製品を多く海外に輸出し、貿易赤字を減らそうとしている。

 

ただ製造業が盛んになり、製品がたくさん作られても、ドルが高ければ輸出は伸びない。そこで各国と通貨協定を結び、ドル安の方向へ向かわせようともしているという。

 

しかしそうなる前に、EUとゼロ関税を結べば、ヨーロッパからの自動車や工業製品が大量に入り込み、国内の製造業が育たない可能性もある。

 

またトランプ氏は以前から、EUの160カ国以上で導入されている付加価値税(VAT:消費税)に不満を持っていたが、Šefčovič氏はその廃止を求めるアメリカ側の提案を否定したという。

 

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EUは報復関税を課す構え

 

EUは、3月12日に発動されたアメリカの鉄鋼とアルミニウムへの関税に対する報復措置の第1弾について、4月9日に投票し決定する予定となっている。

 

そこでは報復措置としてハーレー・ダビッドソンのバイク、オレンジジュース、ジーンズなど、最大260億ユーロ相当のアメリカ製品を対象とすることが提案されており、関税は4月15日から発効する予定となっているそうだ。

 

ただしトランプ氏が、フランス産ワインおよびシャンパンに200%の関税を課すと脅したことを受けて、フランスやアイルランドなど一部の国は、アメリカのバーボンを報復関税のリストから外すよう働きかけを行っているという。(了)

 

出典元:The Guardian:EU offered ‘zero-for-zero’ deal to US weeks before tariff announcement(4/7)

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