「スムイへの空爆はミスだった」トランプ大統領、ロシアのウクライナ攻撃を擁護

先日、ウクライナ北東部の町、スムイ市でロシア軍の弾道ミサイルにより数多くの民間人が亡くなったが、この攻撃について、アメリカのトランプ大統領はロシア側を擁護した。
スムイへの攻撃で34人が死亡
スムイ市の中心部では4月13日、ロシア軍の弾道ミサイル2発が着弾。1発はバスに命中し、もう1発も通りに落下し、教会へ向かっていた多くの人々が吹き飛ばされた。
この攻撃では「クラスター爆弾」が使われたとも言われており、少なくとも2人の子供を含む34人が死亡、100人以上が負傷したという。
またロシア軍は、この攻撃で「ダブル・タップ」と呼ばれる手法をとり、最初の爆発で負傷者を助けようと集まった人々を狙い、2発目のミサイルを発射したと言われている。
この攻撃についてトランプ大統領は4月14日、記者団に問われ、「ひどい攻撃だったと思う。私は、彼ら(ロシア軍)が『ミス』を犯したと聞かされている。『ミス』だと信じている。本当に恐ろしいことだと思う」と述べた。
ロシア軍まで「ミス」を否定
「ミス」という言葉で、ロシア軍の無差別攻撃をできるだけ「和らげよう」としたトランプ氏だったが、ロシア側は「ミス」ではなかったと主張。また民間人を標的にしたものではないとも述べたという。
ロシアのペスコフ報道官は、「我が国の軍は、軍事施設と軍事関連の標的のみを攻撃している」と主張し、ロシア国防省は、民間人の犠牲者があったことを認めたが、責任はウクライナにあるとし、次のように述べた。
「ウクライナ政権は、国民を人間の盾として利用し続けており、人口密集都市の中心部に軍事施設を設置し、兵士が参加するイベントを開催している」
しかしロシア国防省は、2022年2月のウクライナ侵攻以来、同様の主張を繰り返しながら、民間の施設を攻撃し続けてきた。
「『誤って』使用する人間はいない」
このトランプ氏の発言は、ウクライナ国民の間でも批判されており、ウクライナの反汚職行動センターのオレナ・ハルシュカ氏は、「主要な祝日に混雑した市街地に向けて、クラスター弾を『誤って』使用するような人などいない」と述べたという。
また彼女は、ロシア軍が先日、クリヴィー・リフ市で同様の攻撃を行い、9人の子供を殺害したことを指摘した。
リトアニアの元外務大臣、Gabrielius Landsbergis氏も「これはミスではない。ミスとは、ペンギンに関税を課すようなものだ。スムイで我々が目撃したのは、ジェノサイド的な侵略の意図的な継続だ。我々の真のミスは、ウクライナを十分に支援しなかったことだ」と述べた。
この攻撃の前、ウクライナのゼレンスキー大統領はCBSの番組「60 Minutes」のインタビューで、トランプ氏にウクライナへの訪問を促し、壊滅的な状況を視察して欲しいとして、次のように訴えた。
「いかなる決定、いかなる交渉を行う前にも、人々や民間人、兵士、病院、教会、子供たちが破壊され、あるいは命を落としているのを、ぜひ見てほしい」(了)
出典元:The Guardian:Zelenskyy urges Trump to view devastation in Ukraine caused by Russia’s invasion(4/14)