テスラ、幹部退任とマスク氏の大麻吸引で株価下落の憂き目に
米国の電気自動車会社として名を馳せるテスラが、幹部職員2人の退任とイーロン・マスク氏の大麻吸引で揺れている。
幹部職員退職と大麻吸引で株価は6%の下落
事の発端は今月7日だ。
テスラの最高財務責任者デーブ・モートン(Dave Morton)氏と最高人事責任者のギャビー・トレダノ(Gaby Toledano)氏が相次いで退任。
さらにそれからわずか数時間後、同社の最高経営責任者イーロン・マスク氏が、インターネット上のインタビューの最中に大麻を吸っているところが中継されることに。
これにより、テスラの株価は7日、一時10%近くも急落。テスラ株の一日の下げ幅としては、2年間で最大のものとなった。
インタビューが撮影されたカリフォルニア州では大麻の吸引は合法となっているものの、不特定多数の人が視聴する映像で大麻を吸引するという行為は、一流企業の最高経営責任者としてふさわしいものではない。
幹部職員の相次ぐ退任もさることながら、破天荒なマスク氏の行為が投資家の不安を引き起こしてしまったようだ。
一か月での退任の真相とは
今回退任した幹部職員の一人、モートン氏はわずか一カ月前に同職に就任したばかりだった。
同氏は退任の理由について、「世間のテスラに対する関心のレベル、そして社内のペースが自分の予想を上回るものだった」と述べている。
さらに「これは将来について考え直すきっかけとなった。私はテスラとその使命、将来の可能性を強く信じているということをはっきりとさせたい。テスラのリーダーシップや財務報告について、意見の相違があるということではない」と強調する。
一方モートン氏がテスラに就任したのは、マスク氏がテスラ株の非公開化を検討している旨をツイートした前日のこと。
Am considering taking Tesla private at $420. Funding secured.
— Elon Musk (@elonmusk) August 7, 2018
この計画自体はツイートから17日後に撤回されることとなったが、米証券取引委員会はこのツイートについて調査を開始。
ツイート中の“資金は確保した”との言葉の真偽によっては、市場操作の罪に問われる可能性もある。
モートン氏がこのようなテスラの状況に不安を覚え、退任を決意したということは容易に考えられることだろう。
精神的に追い詰められた中での大麻吸引
しかし相次ぐ幹部職員の退任に米証券取引委員会による調査という危機の中、なぜマスク氏は全世界に配信されてしまうインターネット中継の最中に大麻を吸引するという安易な行為に及んでしまったのだろうか。
この時のインタビュアーは、米国でコメディアンとして知られるジョー・ローガン(Joe Rogan)氏。
ローガン氏はこの際、自らが吸った葉巻がタバコと大麻を混ぜ合わせたものであり、また大麻がカリフォルニア州では合法であることを説明しつつ、葉巻をマスク氏に手渡した。
するとマスク氏は大麻を“ほとんど”吸ったことはないとしつつ、吸引してしまう。
一方マスク氏は、先月半ばに行われたインタビューの際に過去1年を振り返り、“最も困難で苦痛な1年だった”との心境を吐露。精神的に追い詰められている様子を伺わせていた。
そんな最中で起こった今回の大麻吸引事件。精神的に不安定な中でドラッグに手を出すのが良い兆候でないことだけは確かだ。
テスラを襲う様々な困難。逆境を乗り越え、テスラとマスク氏は再浮上することができるのだろうか。(了)
出典:The Guardian:Tesla shares crash after Elon Musk smokes joint on live web show (9/8)
出典:Deutsche Welle:Tesla shares take a hit after Elon Musk smokes marijuana(9/8)
出典:朝日新聞:マスク氏が苦悩告白→テスラ株急落 「最も困難な1年」(8/17)