北朝鮮、昏睡状態の米大学生を解放する際、2億円を米政府に要求
北朝鮮から解放され、その後死亡したアメリカ人大学生のOtto Warmbierさん(当時21歳)。
彼をアメリカ側へ引き渡す際、北朝鮮側は医療費として200万ドル(約2億2300万円)を要求していたと、ワシントン・ポストなど有力紙が伝えている。
ポスターを盗んだ容疑で15年の刑
その報道によれば2017年に、Ottoさんを引き取りに北朝鮮へ向かった政府関係者は、トランプ大統領の指示を受け、200万ドルの医療費支払いの同意書にサインしたという。
ただし実際に、北朝鮮側に支払われたのかは明らかになっていない。
Ottoさんは2016年、平壌のホテルからプロパガンダ用のポスターを盗んだ容疑で15年の判決が言い渡され、強制労働のため収容所へ送られたと言われている。
その後、昏睡状態に陥り、2017年6月13日にアメリカ側へ引き渡されたが、その6日後に亡くなった。
North Korea presented U.S. with $2 million bill for care of comatose American Otto Warmbier, two people familiar with invoice say https://t.co/SVYA0o5OWx
— The Washington Post (@washingtonpost) April 25, 2019
すでに昏睡状態で無反応だった
当時の担当者だった救急医療の医師、Michael Flueckiger氏によれば、北朝鮮に到着した後、彼らはOttoさんを引き取りに、外国人だけを治療している「友愛病院」へ連れて行かれたという。
Ottoさんはすでに事実上の脳死状態だったと見られ、無反応で、鼻に差し込まれたチューブから栄養を摂取している状態だったそうだ。
その後、北朝鮮の担当者はFlueckiger氏に対し、Ottoさんに関する医学的所見や医療体制などの報告書を書くよう求めた。Flueckiger氏は「もし、私が署名した報告書を彼らに渡さなければ、恐らく問題になっていた、というのが私の印象です」と述べている。
JUST IN: North Korea billed US $2 million for hospital care of Otto Warmbier: report https://t.co/PwsYDEGiil pic.twitter.com/OvOnhazAZI
— The Hill (@thehill) April 25, 2019
大統領の指示で同意書にサイン
しかしFlueckiger氏は報告書の中で、嘘を書く必要はなかったという。実際に彼は「Ottoさんが例えどんな状況に置かれていたにせよ、致命的な心血管虚脱で倒れた後、友愛病院の医師たちは最新の設備で、蘇生治療を行っていたのは明らかだ」と述べている。
その後、一緒に同行した国務省の交渉担当、Joseph Yun氏は北朝鮮側から200万ドルの医療費の請求書を渡され、Ottoさんを解放する前にこの同意書にサインしなければならない、と告げられたという。
その後、Yun氏はティラーソン国務長官(当時)に連絡。彼からトランプ大統領に情報が伝わり、Yun氏に同意書にサインするよう指示が下された。その結果、Ottoさんが解放されたとみられている。
もっともこの件について、ホワイトハウスはコメントしていない。また昨年9月、トランプ大統領は「人質を帰還させるために、北朝鮮側には何も支払っていない」と述べていた。
またある関係者も、トランプ政権が要求された金額は支払わなかったとし、北朝鮮側もその後この問題を持ち出さなかったと語っているという。
ただOttoさんの父親であるFred Warmbierさんは、この事実を知らなかったとし、「まるで身代金のように思える」と述べている。(了)
出典元:CNN:North Korea presented US with $2 million bill for care of Otto Warmbier(4/25)
出典元:METRO:North Korea demanded $2m payment to free comatose US prisoner Otto Warmbier(4/25)