EU首脳会議、ロシアからの石油禁輸で合意、対象は輸入量の3分の2以上
ヨーロッパ連合(EU)の首脳会議が開かれる前に、ロシアの石油輸入禁止が話し合われ、合意に達したとEU理事会のシャルル・ミシェル議長が発表した。
海上輸送やパイプラインでの輸入禁止を提案
5月30日から2日間、ベルギーのブリュッセルで行われるEU首脳会議を前に、27カ国の首脳らがロシアからEUへの石油輸入禁止について話し合いが行われていたという。
今回、第6弾となるEUの対ロシア制裁案には、ロシアからの石油(海上輸送、パイプライン、原油、精製品)をすべて輸入禁止にすることが含まれていた。
制裁を実行するには、27の加盟国すべてが全会一致で同意する必要があったが、ハンガリーはロシアからの石油輸入を止めると自国の経済が打撃を受けると主張。スロバキアとチェコ共和国も懸念を表明していたという。
しかしEU理事会のシャルル・ミシェル議長は5月30日、ロシア産原油の一部輸入を対象外にすることで妥協し、EU圏への輸入禁止で合意したと発表。「これでロシアからの石油輸入の3分の2以上がカバーされ、ロシアの戦争マシンの巨大な資金源が断たれる」とツイッターに投稿した。
またロシア最大の銀行であるスベルバンクをSWIFTシステムから切り離し、さらに3つのロシア国営放送局を禁止することでも合意したそうだ。
3カ国はパイプラインに頼っていた
ハンガリーとスロバキア、チェコ共和国の3カ国はいずれも、石油供給をロシア南部からのドルジバ・パイプラインに頼っている。
このため5月30日には、ロシアの石油をタンカーでEUに持ち込むことのみを禁止するが、パイプラインによる供給は一時的に免除するという妥協案が提案されたそうだ。
しかし、一部のEU首脳は、この案が制裁を弱めるものであると警告し、結局その場ではまとまることはできなかった。
その後の各国首脳の反応
ハンガリーのオルバン首相は国内において強権的な政治を行っており、EUによるロシアへの経済制裁を阻止する姿勢を示してきたと言われている。
ただ今回の石油輸入禁止について、オルバン首相はその後、「ハンガリーのエネルギー供給安全保障のための解決策があれば、ハンガリーは協定を支持する用意がある。今はまだそれがない」と述べていたという。
一方、エストニアのカジャ・カラス首相は、6月23日から24日にかけて行われる次のEU首脳会議で合意に至ることが現実的である、と述べていたそうだ。
石油禁輸は、ロシアの主要な収入源の一つを断ち切る可能性があり、ロシアからの日量470万バレルの原油輸出の約半分はEUに輸出されている。(了)
出典元:The Guardian:Russia-Ukraine war live: Moscow to halt gas supplies to Netherlands; US will not supply long-range rocket systems to Kyiv(5/30)
出典元:REUTERS:EU leaders agree to ban export of Russian oil to the bloc – EU’s Michel(5/31)