アルゼンチンに誕生した極右大統領、過激な政策がヤバすぎる
先日、南米のアルゼンチンで新たな大統領が誕生したが、その過激すぎる政策に注目が集っている。
極右の「自由至上主義者」
その大統領とは、ハビエル・ミレイ氏(53)だ。(12月10日に大統領に就任予定)
19日に行われた大統領選の決選投票では、ミレイ氏が56%近くを獲得。与党・中道左派のセルヒオ・マサ経済相(51)の得票率44%を上回った。
ミレイ氏は極右の「自由至上主義者」とされ、彼が大統領に当選したことは「政治的地殻変動」だと評されているという。
Meet Argentina’s new president Javier Milei.
When he was growing up, kids called him “The Madman” because of his energetic outbursts.
At the age of 18, Milei, who was a soccer player, gave up the sport to pursue a career in economics.
Milei started getting famous for debates… pic.twitter.com/fK31aNFb5Q
— Collin Rugg (@CollinRugg) November 20, 2023
銃規制の緩和、中絶の禁止、臓器売買の許可
驚くのは彼が選挙中に訴えてきた政策の中身だ。
評論家などから「El Loco(狂人)」と評されるミレイ氏は、選挙期間中も「民間部門の手に委ねられるものはすべて、民間部門の手に委ねられるだろう」と述べてきたという。
そしてアルゼンチンの通貨「ペソ」を捨て、国内でアメリカ・ドルを導入することや、インフレを防ぎ、これ以上お金を刷らせないようにするため、中央銀行を「爆破する(廃止する)」と主張してきたそうだ。
またミレイ氏は、文化省、女性省、保健省、教育省などを閉鎖することにより、官僚の数を削減し、政府の支出削減も政策に掲げていた。
さらに大統領に当選した後のインタビューでも、アルゼンチンの国営エネルギー会社「YPF」と公共放送を民営化すると発言。公共事業を「ゼロに削減」し、すでに進行中の事業は入札にして、「これ以上の国家支出をなくす」と述べたという。
社会問題の政策については、まず銃規制を緩和し、2020年にアルゼンチンで合法化された中絶を再び禁止すると公約に掲げており、人間の臓器の売買を許可したいと考えているそうだ。
既成政党にうんざりしていた国民
アルゼンチンでは年間インフレ率が143%に上昇し、国民の40%が貧困に陥り、深刻な経済危機に陥っていると言われている。
今回の大統領選挙について専門家らは、ミレイ氏の攻撃的なスタイルと、「政治的カースト(身分制度)を廃止する」という公約が、既成政党にうんざりしていたアルゼンチンの有権者に響いたとみている。
しかしミレイ氏による政権運営が、アルゼンチンの社会に暗い影を落とすことも懸念されているという
そもそもアルゼンチンでは、1976年から1983年にかけて軍政下で3万人が殺害または失踪している、その後政権が代わり、当時の多くの将校が人道に対する罪で、有罪判決を受け、現在も服役しているそうだ。
そして今回、ミレイ氏は軍人の家族を持つビクトリア・ビジャルエ氏を副大統領に選んだのだが、彼女は有罪判決を受けた軍人らを擁護し、軍事政権による犠牲者を追悼する博物館の解体まで提案しているという。
極右のミレイ氏の大統領当選に対して、アメリカのトランプ前大統領や、ブラジルのボルソナロ前大統領らも、祝福の言葉を贈っている。(了)
出典元:BBC:Javier Milei: Argentina’s far-right outsider wins presidential election(11/20)
出典元:The Guardian:Argentina presidential election: far-right libertarian Javier Milei wins after rival concedes(11/19)