カナダで発見された鳥型恐竜の化石、詳細な分析により新種と判明
以前、カナダで発見された化石が、想定されていた恐竜とは別のもので、新種であることが明らかとなり注目されている。
白亜紀後期に北米に生息していた
その化石はカナダのアルバータ州で発見されたもので、鳥のような姿をした恐竜で7100万年前(白亜紀後期)には、Red Deer川付近に生息していたものと考えられている。
そしてこの恐竜は、付近の化石発見に尽力してきた古生物学者、Philip J. Currie博士にちなんで「Albertavenator curriei(キューリーのアルバータのハンター)」と名付けられたという。
調査に当たったRoyal Ontario 博物館(ROM)やPhilip J Currie恐竜博物館の研究者らは、この新種について7月17日に科学誌「Canadian Journal of Earth Sciences」において論文を発表した。
他の2本足で歩く恐竜に似ていた
もっともこの化石が発見された当初、研究者らは「トロオドン」という恐竜の親戚だと考えてきたそうだ。
「トロオドン」とは「Albertavenator」よりも500万年早い、約7600万年前に生息していたものと見られ、頭も大きく非常に賢い恐竜だったとされている。
そして「トロオドン」と「Albertavenator」は両方とも、2本の足で歩き、羽で体が覆われ、ほぼ人間と同じサイズと考えられてきた。
しかし頭頂部を形作る骨を比較したところ、「Albertavenator」の頭蓋骨は「トロオドン」よりも頑丈にできており、骨も短いことが明らかになったという。
Royal Ontario 博物館、古脊椎動物学の専門家であるDavid Evans博士はリリースにおいて次のように語っている。
「これらの羽を持った小さな恐竜の壊れやすい骨は、非常に貴重です。新種としてAlbertavenatorを識別できる頭蓋骨の重要な断片を入手することができ、私たちは本当に幸運でした。私たちは将来、より完全なAlbertavenatorの骨格を発見できることを望んでいます。それはこの魅力的な生き物について、私たちにより多くのことを教えてくれるかもしれません」
骨の比較分析によって区別が可能に
しかしそもそも断片的な化石から新しい種を特定することは、非常に困難なことだという。
特に今回の場合、新種の特定を複雑にしてきたのは、同じアルバータ州でバラバラに発見されてきた歯の存在で、「Albertavenator」のあごの歯は「トロオドン」のものと非常によく似ていたため、2つを区別することが難しかったそうだ。
トロント大学のThomas Cullen氏は次のように述べている。
「私たちにAlbertavenatorとトロオドンを識別させるのを可能にさせたのは、頭部の骨の詳細な解剖学的、統計的な比較分析だったのです。これを通してのみ、識別が可能だったのです」
またPhilip J. Currie恐竜博物館のDerek Larson氏も「この発見は、これらの貴重な恐竜から抽出された骨の成分を調査することの重要性を証明しています」と語っている。
多様な小型恐竜がいた可能性あり
今回の「Albertavenator」のようなトロオドン科の新種の特定は、断片的な化石から種を特定することの困難さが原因で、白亜紀後期に北アメリカ大陸に生息していた小型恐竜の多様性が従来よりも過小評価されてきた傾向を示したという。
そして一度発見され、博物館などに収められてきた断片的な化石を、もう一度より詳細に研究することにより、現在分かっていない新しい種を明らかにできる可能性もあるそうだ。(了)