マンハッタン島の3分の1の面積に及ぶ、巨大な氷山が分離する動画が大迫力
巨大な氷山が削られていき、やがて切り離されていく迫力のある動画が研究者らによって撮影され、公開されている。
グリーンランドの東部で撮影
その映像を撮影したのは、ニューヨーク大学などの研究チーム。彼らはグリーンランドの東部で約6.4kmに及ぶ氷山が切り離される様子を撮影、動画をYouTube上で公開した。
この現象は「calving(氷山の崩壊・分離)」と呼ばれ、現地時間の6月22日、午後11時30分に発生。30分以上にわたって氷山が削られ、やがて崩壊したという。
動画は早送りで90秒に短縮したもの。そこにはニューヨーク・マンハッタン島の最南端であるロウアーマンハッタンから、中央部のミッドタウンに及ぶ面積の氷山が切り放され、一部が海へ落ちていく様子がとらえられている。
海水面上昇を正確にシミュレートするため
ただこの映像は、単に迫力を伝える目的で撮影されたのではない。研究チームは氷山の崩壊によって生じる、世界的な海水面の上昇をシミュレートするため記録したという。
調査に参加したニューヨーク大学、環境流体力学研究所のDenise Holland氏は、次のように語っている。
「氷山がどのように、どういう形で削られて行くのかを知ることは、シミュレーションにとって重要なのです。なぜなら、それらが究極的には世界的な海面上昇を決定するからです」
「何が起きているかをよりよく理解するほど、より正確なシミュレーションを作ることができ、気候変動を予測し計画を立てるのに役立つのです」
また調査を率いたニューヨーク大学、クーラン数学研究所のDavid Holland教授も「世界的な海水面上昇は否定できず、必然的なものなのです」と語っている。
南極氷床が崩壊すれば海面が3mも上昇?
実は2017年での見積もりでは、西部南極氷床の完全な崩壊が起これば、約3mも海面が上昇し、ニューヨークも含めて世界中の沿岸地域が海に飲まれると予想されていたという。
またこれまでのところ、西部南極氷床の一部とされるスウェイツ氷河が大量の水を排出しており、世界的な海水面を約4%上昇させ、その量は1990年代半ばに比べ2倍に増えているそうだ。
このまま海水面が上昇し続ければ日本もどうなるのか、不安は尽きない。(了)
出典元:NYU:Scientists Capture Breaking of Glacier in Greenland(7/6)