幻の動物「タスマニア・タイガー」を発見するための調査が、来月にも行われる
絶滅したとされる「タスマニア・タイガー」。それを発見するための調査が行われることとなり、期待が寄せられている。
●50台以上のカメラを設置する予定
この調査を行うのはJames Cook大学などの研究者たち。彼らはオーストラリアの北東部に突き出た半島、ヨーク岬付近に50台以上の隠しカメラを設置する予定で、来月から調査の一部を開始するという。
しかもこの調査は過去に報告された、タスマニア・タイガーについての複数の目撃情報に基づき行われるそうだ。
●有力な2つの目撃情報
そのうちの1つの目撃情報を提供したのは、以前観光事業を営んでいたBrian Hobbsさんで、彼はタスマニア・タイガーらしき動物の家族を1983年に見たと報告している。
彼は豪メディアのABCラジオへの取材に対し、次のように語っているという。
「その動物は、これまでの人生で一度も見たことがないものでした。それらは犬の形をしていました。ただ私もシェパードを飼っていますので、犬がどういうものかは知っています。それは光の下では黄褐色をしており、体の横にはストライプがありました」
また元森林監視員のPatrick Shearsさんもそれらしき動物を見たと主張しており、取材に対し次のように答えている。
「地元のアボリジニ(先住民)は定期的にその動物を見たと報告してくれました。彼らは犬のような生物についてよく知っており、野生の犬のディンゴではなく、しばしば夜に目撃されると言っていました」
「またアボリジニの人たちは、その動物を『ムーンライト・タイガー』と呼んでいました。それは好奇心が強く、人が動かずに物音も立てなければ、一定の範囲まで近づいてきて調べ、そのまま立ち去っていくそうです」
●他の動物の特徴とは一致しない
しかし今回の調査を行うJames Cook大学のBill Laurance教授によれば、これらの目撃情報は信頼できるとしながらも、タスマニア・タイガーがそのような少ない数で生き延びている可能性は少ないという。
ただ彼はTelegraphの取材に対し、次のように語っている。
「今までの全ての目撃情報は、いずれも夜に見られたものです。1つの例では4頭が6mしか離れていない場所で観察されています。私たちは受け取った情報をさまざまな角度からチェックしました。目の色や輝き、体のサイズや形、生態、その他の特徴など、これらの情報は北部のクィーンズランドに生息する体の大きな動物、例えばディンゴや野生のブタなどの特徴とは矛盾しており、一致していません」
●1936年に最後の1頭が死亡
タスマニア・タイガーは肉食性の有袋類とされ、かつてはオーストラリア本土にも分布していたと考えられている。
しかしディンゴの餌食となって本土から次第に姿を消し、タスマニアにだけ残されたという。
さらに入植者からも羊の脅威になると思われて、罠を仕掛けられたり狩猟の標的にされたりして数が激減。
1936年9月7日にタスマニアの州都、ホバートにある動物園で飼育されていた最後の1頭が死んでからは、絶滅したと考えられてきたそうだ。
またその後もタスマニア・タイガーの目撃情報は数え切れないほど寄せられたが、その多くが他の動物との見間違えだったりして、これまで一度も生存は確認されなかったという。
●調査する場所は公表せず
今回、Hobbsさんら2人が目撃したのはヨーク岬にある2つの離れた場所だとされているが、調査する地点については明らかにされていない。
恐らく生息域を第三者に知られないようにするためで、他の情報も極秘とされているようだ。
調査は4月の後半、川の水位が下がってから行われるようだが、もしタスマニア・タイガーが本当に発見されたならば、恐らく大きなニュースとして伝えられるに違いない。(了)
出展元:The Telegraph:Scientists hunt for extinct Tasmanian tiger after sightings in Australia(3/24)