温暖化の影響か?豪北部に生息するウミガメの多くがメスであることが判明
オーストラリアに生息するウミガメの調査が行われ、その多くがメスであることが明らかにされた。
孵化する場所の温度で決まる性
この調査を行ったのは、アメリカのカリフォルニア州にあるNational Oceanic and Atmospheric Administrationなどの研究者たち。彼らはグレート・バリア・リーフに生息するウミガメの性別を調査した。
そして生まれてきたアオウミガメの多くがメスであったという結果を、1月8日に学術誌「Current Biology」において発表した。
その中で研究者らは生き物の性は卵が孵化する場所の温度によって決まるとし、気候変動が動物たちにとって深刻な脅威になっていると指摘している。
暖かい海域では若いカメの99%がメス
今回の調査において研究者らは初めて、遺伝マーカーと性を決定するホルモン分析を組み合わせた方法を使用。海ガメが住んでいるビーチにおいて追跡調査を行い、性の割合を調べたという。
全体的な結果は、特に大きな変化はなく、メス4匹につきオスが1匹という割合だったそうだ。
しかしカメが生まれた場所に基づきデータを分析した結果、グレート・バリア・リーフでモニターされた多くのアオウミガメがメスであることが判明。さらにその状態が20年以上も続いていたことも明らかになったそうだ。
実際、北部の暖かい海水が浸る砂で生まれた若いアオウミガメの99%以上はメスであり、もともと冷たい南部のビーチから移動してきたウミガメの67%がメスだったとしている。研究者らは次のように指摘している。
「私たちの結果と気温のデータを組み合わせた場合、より暖かい北部のグレート・バリア・リーフに住むアオウミガメの集団繁殖地では20年以上も、主にメスの子供が産まれ続けてきました。そしてこれは近い将来、この集団の完全なメス化が可能になることを示しています」
気候変動が深刻な脅威になる
研究者らによれば、より低い温度ではより多くのオスが生まれており、温度が暖かくなるとメスが多く孵化しているという。
本来は50%の確率だったオスとメスの性を決定する「境界の温度」は、カメの親から子孫に受け継がれて行くそうだ。
しかし全てがオスに、または全てがメスに変わるという場合の温度の差は、わずか2、3度しかないとか。そのため研究者らは次のように警告している。
「世界中の気温が暖かくなり、境界となる温度によって多くのウミガメが自然に子供を産み続ければ、気候変動がこれらの集団にとって深刻な脅威になることは明らかです」
温暖化は国を越えて地球全体で取り組まなければならない課題だが、そのためにも多くの人々の理解が必要になるのかもしれない。(了)
出典元:Science News:Warming ocean water is turning 99 percent of these sea turtles female(1/8)
出典元:METRO:Male turtles turning into females due to warming of the oceans, scientists claim(1/9)