月の裏側では28億年前に噴火が起きていた、採取されたサンプルを分析
中国の探査機によって月の裏側から持ち帰られたサンプルの分析が進められ、過去に火山の噴火があったことが示された。
約1.9kgのサンプルを分析
2024年5月に打ち上げられた中国の探査機「嫦娥6号」は、月の裏側にある「南極エイトケン盆地」に着陸。そこで土壌などのサンプルを採取し、6月25日に地球へ運ばれた。
地球へ運ばれたサンプルは、約1.9kgもあり、研究者たちは溶岩のサンプルを分析。その結果、28億年前には月の裏側で、火山の噴火があったことが判明したという。
このサンプルは、月の裏側から地球に持ち帰られた初めてのものとなる。
サンプルの同位体と化学組成を分析
中国科学院広州地球化学研究所の研究者たちは、サンプルの同位体と化学組成を分析。同位体とは、同じ原子番号だが、中性子の数が異なるため、質量数が異なる原子のこと。
また中性子の数は、放射性崩壊中に時間とともに変化するため、サンプル内の異なる同位体の比率は、そのサンプルの年齢を測定するのに適したデータになるという。
この分析の結果、サンプルの中の玄武岩が28億年前のものだと判明。また玄武岩は溶岩が固まってできる岩石であるため、28億年前に月の裏側で火山の噴火が起きていたことが明らかとなった。
実は以前の研究でも、月の「表」側で、少なくとも20億年前まで火山活動が起きていたことが確認されており、今回の分析で月の裏側でも、火山活動が活発だったことが明らかにされた。
2020年に月の「表」側で「嫦娥5号」のローバーが採取したサンプルの研究でも、1億2000万年前というごく最近まで、月で火山が噴火していた可能性が示唆されたという。(了)
出典元:Livescience:China reveals secrets of 1st sample taken from the far side of the moon — and it contains a volcanic surprise(11/20)