豪に生息する有毒な「シドニージョウゴグモ」、実は3つの異なる種だと判明
オーストラリアに生息する最も危険なクモの1つが、実は3つの異なる種に分かれていることが明らかにされた。
噛まれたら15分以内に死亡
その危険なクモとは、「シドニージョウゴグモ (Atrax robustus)」 だ。
このクモは光沢のある黒色をし、体長は約3.8cmまで成長。人間にとって最も有毒なクモの1種とされている。
オーストラリアでは郊外に生息し、オスが巣穴から出て交尾相手を探す夏頃には、民家の中に侵入してくるという。
その毒には人間の神経系を攻撃する毒素が含まれており、噛まれたら15分以内に死亡する可能性があるため、すぐに医療処置を受ける必要があると言われている。
顕微鏡で観察、遺伝子を分析
「シドニージョウゴグモ」は1877年に初めて記録され、その後も科学者たちはオーストラリア全土で、より多くの種類のジョウゴグモを記録してきたそうだ。
そして今回、研究者はシドニー郊外で野生のクモを収集し、シドニーのオーストラリア博物館にある標本を顕微鏡で詳細に観察。さらに遺伝子を分析することで、「シドニージョウゴグモ」が実は3つの種に分かれていることが判明した。
まず「本物」の「シドニージョウゴクモ(1877年にAtrax robustusとして最初に記録された生物)」は、シドニー市内および郊外で観察できるという。
2つ目の種類の「Atrax montanus」は、約100年前に初めて記録され、当時は不正確であるとして却下されていたが、新しい研究で実際に存在することが判明した。主にオーストラリア南西の熱帯雨林に生息しているそうだ。
そして、3番目の大型種である「Atrax christenseni」は、シドニーの北約170km、ニューカッスル市周辺の狭い地域で観察できるという。
「Atrax christenseni」は3つの種の中でも一番大きく、体長は9cmに達すると言われている。
この名前は、オーストラリア爬虫類公園のケイン・クリステンセン氏に因んで付けられ、彼は2000年代に初めてこのクモを記録し、「Atrax christenseni」に「ビッグ・ボーイズ」といったニックネームをつけたという。
今回の研究は、1月13日、科学誌「BMC Ecology and Evolution」に掲載されている。(了)
出典元:Livescience:‘Big boy’ spider becomes Australia’s largest deadly funnel-web after surprise discovery(1/20)