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温暖化により世界の都市部でネズミの報告が急増、東京は逆に減少傾向

温暖化により世界の都市部でネズミの報告が急増、東京は逆に減少傾向
flickr_Sebastien FAILLON

世界の気温が上昇するにつれ、都市部でのネズミの報告件数が急増しているという、研究結果が発表された。

 

増加率300%越えの都市も

 

世界16都市のデータを調べた研究によると、アメリカのワシントンD.C.、サンフランシスコ、ニューヨーク市、カナダのトロント、オランダのアムステルダムでは、齧歯類が最も増加したという。

 

この研究では、ネズミの目撃情報や侵入報告を分析しており、過去10年間、ワシントンD.C.ではネズミが390%、サンフランシスコでは300%、トロントでは186%、ニューヨークでは162%増加したそうだ。

 

「サイエンス・アドバンス誌」に掲載された研究論文では、11都市で「ネズミの数が大幅に増加している」とし、この傾向は今後も続く可能性が高いと指摘している。

 

個体数を数値化したものではない

 

今回の研究はアメリカの都市やアムステルダム、トロント、東京に焦点を当てて行われたという。これらの都市では、いずれもネズミの目撃情報に関するデータを収集していたためだ。

 

しかしこの研究はネズミの個体数を、全体的に数値化したものではない。報告件数の相対的な増加を、時系列で示しただけのものとなる。

 

ロンドンやパリなど一部の大都市は、必要なデータを提供しなかったため調査対象から除外された。ただ研究者らは、この調査結果が、世界中の多くの都市に当てはまると述べている。

 

研究者らは論文の中で、「気温の上昇が、ネズミの個体数の増加と相関関係にある」と主張。実際にネズミは、冬季には生存に苦労するが、気温が高ければ年間を通じて繁殖し、より長い期間、餌を探すことができると考えられている。

 

最も被害が深刻な場所の1つであるカナダのトロントでは、「ネズミの大発生」が起こり、住民は個体数の急増に直面しているという。

 

アメリカ・リッチモンド大学の主任研究者、ジョナサン・リチャードソン氏は「ネズミの数が最も急速に増加した都市で、温暖化が最も早かったという事実は、この研究の最も悲観的な結果だ」と述べている。

 

東京や他の都市では減少

 

一方、東京やアメリカの都市、ルイビルやニューオーリンズでは、ネズミの報告件数が減少し、この傾向に逆行したという。

 

リチャードソン氏は、東京では文化的規範と清潔さを求められることから、人々がネズミの目撃をすぐに報告し、駆除ができたのではないかと推測している。

 

ネズミは建物に侵入して損害を引き起こし、少なくとも60の病気を人間に感染させる可能性がある他、都市に生息する他の種の生態系にも影響を及ぼすと言われている。(了)

 

出典元:The Guardian:‘Perfect rat storm’: urban rodent numbers soar as the climate heats, study finds(1/31)

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