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南極の棚氷から響いてくる不思議なノイズ、「氷の歌」が公開される

南極の棚氷から響いてくる不思議なノイズ、「氷の歌」が公開される
YouTube/American Geophysical Union (AGU)

南極にある棚氷から、不思議な「氷の歌」が響いていることが明らかとなり、その音が公開された。

 

棚氷の形成や崩壊の調査に役立つ

 

その音は低周波のノイズで、南極にある巨大なロス棚氷の表面から響いてくるという。

 

これは風が雪に覆われた丘を叩きつけ、氷が振動する時に発せられるもので、絶えずある音色を生み出しており、今回アメリカのコロラド州立大学などの研究者が音を表現することに成功したそうだ。

 

実はこの音は以前からとらえられていたようだが、周波数が低く人間の耳では聞くことができなかった。しかし今回、音を速めることで音色を表現することが可能になったとか。その音がこちら。

 

 

そしてこの音色の変化を聞き分けることで、棚氷がどのくらい離れた場所から形成されていくか、または気候変動によって棚氷がダメージを受けているか、を突き止めることに役立つとされている。

 

表面の雪が絶えず振動していた

 

そもそも棚氷の崩壊は激しく、しかも突然起きるとされ、やがては海流の変化や海面上昇をもたらす。

 

このためあらゆる崩壊の徴候を観察することは重要とされている。

 

科学者らはロス棚氷がどのように変化していくのかを理解するため、棚氷の表面の下に繊細な反応をとらえる34個の地震計を設置。2014年の後半から2017年の初めまでモニターし続けたという。

 

そしてデータをチェックしていた時に、棚氷の表面を覆っている雪が絶えず振動しているのを発見。さらにその振動が巨大な雪の丘をわたってきた風によって引き起こされ、棚氷がドラムのようなゴロゴロという音を立てているのを突き止めたそうだ。

 

YouTube/American Geophysical Union (AGU)

棚氷の構造によって変化する

 

しかも音のピッチ(高低)も、気候条件が表面を覆っている雪の化粧を変えるときに変化することを発見。その結果、嵐が雪の丘の形を変え、気温が変化すれば、音のピッチも変化することがわかったという。

 

今回の研究論文の主筆を務めた、コロラド州立大学の地球物理学者(及び数学者)であるJulien Chaput氏は次のように述べている。

 

「それは棚氷の上で人が絶えず吹き続けるフルートのようなものです。ちょうどフルートが、空気の通り穴の構成によって音が変わるように、歌う氷の音も棚氷の構造によって変えられるのです」

 

つまり暖かくなったり寒くなったりして雪の速度が変化し、または雪の丘が破壊されたり、新たに加えられたりすることで、吹く場所が変化し、音色が変わってくるという。(了)

 

 

出典元:INDEPENDENT:Eerie ‘singing’ sounds heard coming from the Antarctic ice shelf(10/18)

出典元:MACH:An Antarctic ice shelf is singing, and it sounds like an eerie sci-fi soundtrack(10/19)

出典元:CNN:An Antarctic ice shelf is ‘singing’ and it’s creepy(10/17)

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