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月の裏側で中国の探査ローバーが見つけたゲル状の物質、その正体とは?

月の裏側で中国の探査ローバーが見つけたゲル状の物質、その正体とは?
China Lunar Exploration Project

昨年、中国の探査機が月の裏側に着陸し、ゲル状に見える物質を発見したことは、当サイトでもお伝えしたが、今回その正体が明らかにされた。

 

探査ローバー「玉兎2号」が発見

 

昨年1月、中国の無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側に着陸。

 

その後月面探査ローバー「玉兎2号」が、南極付近のエイトケン盆地にある「Von Kármánクレーター」内を調査した。

 

その際、黒っぽい地面の表面に、これまでに見たこともない、暗い緑がかったゲル状の光沢のある物質を発見した。

 

探査ローバーは、やがて画像を地球へ送信。その結果、このニュースは世界中に広まった。

 

China Lunar Exploration Project

アポロが持ち帰った堆積物と比較

 

その後、研究者はそれらの画像と、以前アポロの宇宙飛行士が地球に持ち帰った実際のレゴリス(天体の表面に積もった堆積物)のサンプルを比較し、分析。

 

その結果、この緑がかった物質は、複数の素材が融合した角礫岩である可能性が明らかとなる。

 

実際、確認された52×16 cmの角礫岩は、アポロ計画によって持ち帰られた角礫岩サンプル15466および70019に似ていたという。

 

さらにスペクトル分析によって、この物質の組成は、斜長石が45%(±6%)、輝石が約7%(±1%)、かんらん石が約6%(±2%)であることも分かったそうだ。

 

このような岩石はインパクトメルト角礫岩と呼ばれ、おそらく隕石の落下の際の衝撃により、莫大な熱風によって、それらが溶けて組み合わさったと考えられるという。

 

研究者らは論文において「これは月の堆積物と角礫岩との衝撃によって、溶けて接合され、凝集し形作られました。そのため不幸なことに、私たちが抱いていた有毒なエイリアンの沈殿物であるという希望は、生命のない冷たい岩に打ち砕かれました」と述べている。

 

実は昨年、この物質が発見された時は、やはり隕石の衝突によって作られた「融解ガラス」の可能性が唱えられていた。(了)

 

 

出典元:METRO:Weird ‘gel-like’ substance on the moon is finally identified(7/9)

出典元:ScienceDirect:Impact melt breccia and surrounding regolith measured by Chang’e-4 rover

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