米科学者が新型コロナのハイブリッド変異株を、研究所で人工的に作製
アメリカの研究者が、新型コロナウイルスの変異株を人工的に作り上げ、マウスで実験を行った。
オミクロン株と武漢株を組み合わせる
その研究を行ったのは、マサチューセッツ州にあるボストン大学「National Emerging Infectious Diseases Laboratories」などの研究者らだ。
彼らは、新型コロナのオミクロン変異株にあるスパイク・タンパク質を、オリジナルのウイルス(武漢株)と組み合わせ、新しい変異株を作成。それらをマウスに感染させた。
その結果、これらに感染したマウスは重症化し、80%が死亡したという。一方で、通常の「BA.1」オミクロン変異株のみに感染したマウスはすべて軽症で、生き残ったそうだ。
また、このハイブリッド型ウイルス(オミクロンと武漢株)をヒトの細胞に感染させたところ、オミクロン株の5倍の感染力があることが判明した。
このことは、この人工ウイルスが、これまでで最も感染力の強いものである可能性を示唆している。
ヒトの肺細胞に対する影響も調査
研究者らによれば、スパイク・タンパク質が感染力を担っている一方で、その構造の他の部分の変化が、致死性を決定するシグナルになっている可能性があるという。
そもそも新型コロナウイルスはスパイク・タンパク質でヒトの細胞に取り付き、健康な細胞に自身のコピーを生成するよう指示する。
このため科学者たちは、ヒトの肺細胞に対する影響を調べるために、それぞれの変異株が健康な細胞にどれだけのコピーを作らせたかを測定。
その結果、ハイブリッド株はオリジナルのオミクロン株の5倍ものウイルス粒子を生成することが明らかとなる。
マウスと人とでは反応が異なる可能性
ただし科学者達は、このハイブリッド・ウイルスは実際の人間では、マウスと同じような致命的なウイルスにはなりそうもないと認めている。
そもそもマウスとヒトでは、DNAや遺伝子に違いがあるため、同一の免疫反応を持っているわけではない。
例えば、免疫系を制御する遺伝子の挙動は異なり、ストレスに対する反応もマウスとヒトでは異なるという。
ただ今回の研究について、ボストン大学の研究者らは「将来のパンデミックに対抗することに役立つ」と述べている。(了)
出典元:METRO:Scientists develop new lethal Covid strain that killed 80% of mice infected(10/17)