2022年の夏、ヨーロッパでは暑さのせいで6万1000人以上が死亡
昨年の夏、ヨーロッパでは熱波の影響で、6万人以上が死亡したことが、科学者によって明らかにされた。
死亡率が高かったのはヨーロッパ南部
EUの公衆衛生の専門家らは、昨年夏のデータをもとに疫学モデルを用いて、気温に起因する死亡者数を割り出したという。
その結果、ヨーロッパでは2022年5月30日から9月4日の間に6万1672人が、暑さにより死亡していることが明らかになったという。
死亡率が最も高かったのは、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルとされている。
熱中症による死亡はごく一部
この研究の主筆を務めた、バルセロナ・グローバルヘルス研究所(スペイン)の気候健康学准教授であるジョーン・バレスター氏によれば、今回の調査対象となったのは、高い気温の発生が死亡の引き金になった人々だという。
ただし、熱中症による死亡はごく一部で、ほとんどの場合、暑さによって心臓や肺の病気のような既存の健康問題への対処ができなくなり、命を落としていたそうだ。
例えば、マリアと呼ばれる86歳の女性は一人暮らしで、エアコンを使っていなかったという。彼女は糖尿病と心臓病の薬を毎日服用していたが、7月19日に疲れを訴えて来院。しかしその5日後に、急性肺水腫で死亡した。
ヨーロッパでは平均気温を上回り続けた
2022年の夏、ヨーロッパの平均気温は過去30年間の基準値を「途切れることなく」上回ったという。
最も猛暑に見舞われたのは7月18日から24日までで、この間に1万1637人が死亡したそうだ。
人類は地球を約1.1℃温めたが、ヨーロッパの気温は世界平均の約2倍の速さで上昇している。
各国の政府がより暑い気候から人々を守り、地球を温めるガスの排出を減らさない限り、熱波によりさらに死者が増えると考えられている。(了)
出典元:The New York Times:Summer Heat Waves Killed 61,000 in Europe Last Year, Study Says(7/10)
出典元:The Guardian:Heatwave last summer killed 61,000 people in Europe, research finds(7/10)