インドでの女性器切除手術の研究結果が明らかに、その恐ろしい実態とは
インドにおける女性器切除(FGM)の実態を報告する研究結果が発表され、波紋を広げている。
シーア派コミュニティでは75%の女性が娘に女性器切除手術を行う
今回の研究は、インドにおける初の大規模なFGMの調査として、先月発表されたもの。
調査はグジャラート州、マディヤ・プラデーシュ州、マハーラーシュトラ州、ラージャスターン州、ケーララ州の5州で行われ、84人の女性と11人の男性の聞き取りが行われたという。
インドは今も「ダウーディ・ボーラ」と呼ばれるイスラム教シーア派のコミュニティにおいて女性器切除のための手術が行われており、研究報告によると回答者のうち75%もの人が娘に女性器切除のための手術を行ったとしている。
「下の方にある余分な皮膚を取り除くため女性が来る、と母から伝えられました。その日が来ると、曾祖母が私のことをしっかりとベッドの上で掴んでいました」
そう語るのは7歳のときに女性器切除の手術を受けたという26歳の法学部生、SHさん。
彼女は手術直後について、「トイレに座り耐え難い痛みのために泣いており、用を足すのですらも非常に恐ろしく感じました」と振り返る。
ムンバイの中心にほど近い地区、ダウーディ・ボーラのコミュニティが数十年にもわたり続いてきたBycullaに住むSHさんは、その後母親から「この建物に住む人全てがこの手術を経てきた」と伝えられたという。
研究で報告されている事例のうち最も新しいものは昨年5月のもので、この際には“ベッドシーツ3枚を血で濡らすほど出血している”として、女性器切除手術を行った直後の娘を41歳の女性が病院へと運び込んだ事例が伝えられている。
#Bohra Muslim leader speech urging #FGM is ‘huge disappointment’ for India campaign https://t.co/HP2ykp02et pic.twitter.com/TI93JsUREn
— The Express Tribune (@etribune) April 29, 2016
研究報告によると手術によって何等かの影響を受けた女性の全てが、世界保健機関の分類に従い“タイプ1”とされるクリトリスの一部、あるいは全てを切除する手術を受けていたという。
研究の際に女性を検査した産婦人科医Sujaat Jenuddin Vali氏は、「(手術を受けた人のうち)半分もの人が何らかのイライラ感を感じており、また30%は歩行や排尿の際に不快感を感じているか、手術部の感受性を失っている」という。
女性器切除手術は女性を支配するためという指摘
インドにおけるFGMについてはこれまで明かにされてこなかったが、国連児童基金(UNICEF)の調査によると、世界では少なくとも2億人もの女性が宗教的な理由から女性器切除手術を経験しているという。
様々な国から集まってきたシーア派の人々はインドにおいては少数派で、インドにおけるイスラム教徒のうちわずか14.2%、およそ150万人ほどに留まる。
一方、ムンバイの聖ザビエル単科大学でイスラム研究を行うZeenat Shaukat Ali氏によると、「(FGMは)イスラム教に由来するものではなく、インドのダウーディ・ボーラのみにおいて行われているものだ」という。
またダウーディ・ボーラの中央委員会で副委員長を務めるエンジニアのIrfan氏は、アラビア語で女性器切除を意味する“Khafd”という言葉とインドのシーア派指導者を意味する“Syedna”という言葉を用い、こう指摘する。
「Khafdはコーランをはじめとする宗教的なテキストの中では何ら言及されていない。しかし熱心な信者の一部は盲目的にsyednaに従っており、他の者は手術を行わないことで排斥されることを非常に恐れている」
Syednaは宗教的純潔を獲得するため、女性のみならず男性にも割礼を行うよう奨励しているという。
またIrfan氏は女性の中には、女性器切除手術を娘に対して密かに行わない者もいると指摘。
「このような非人道的な手術は数世紀にもわたり行われてきているが、このイデオロギーは女性の振る舞いを支配するために他ならない。男性は女性の後ろに立ち、彼女らの奮闘を支えるべきだ」
#Mumbai wields an amazing night scenery when its urban cityscape is illuminated by lives of the citizens. pic.twitter.com/mjnO3PHUO2
— Going Places Mag (@GoingPlacesMag) June 24, 2014
FGMの実態に見て見ぬふりをするインド政府
研究に携わったLakshmi Anantnarayan氏は、インド政府がFGMを禁ずる法を制定することを期待するという。
一方、インドにおいてFGMを禁ずることを求める請願は2016年にも提出されている。
ところがこれに対し、昨年12月にインド政府は「インドにおけるFGMの存在を実証する公式なデータや研究は存在しない」と返答。
インドでFGMへの反対を唱える団体「WeSpeakOut」を率いるメンバーの一人、Masooma Ranalvi氏はこれに対し「インド政府は(手術を受けた)人々の話を知っており、この返答はばかげている。政府は現実から目を背けているが、研究報告が請願への返答を再考させることを願う」とする。
女性器切除手術を経た女性たちによって設立された「WeSpeakOut」は、徐々に支持者を獲得してきているが、他方でダウーディ・ボーラの中央委員会は、FGMに反対するキャンペーンを公式には支持していないとのことだ。
インドにおける女性器切除手術は“mullanis”と呼ばれ、伝統的に女性器切除手術に携わってきた人々か、医師によって行われるという。
また手術にあたっては少女に洋服や菓子などを買うことを約束する代わりに、女性器切除手術を実行するという事例が多くみられていると伝えられている。
現代においてもインドでは密かに行われているというFGM。インドにおいては伝統的に女性の権利が低く、女性差別やレイプなどの事例も数多く報告されているが、そんなインド女性たちに光が当たる日が訪れることを願うばかりである。(了)
出典元:The Guardian:‘I was crying with unbearable pain’: study reveals extent of FGM in India(3/5)
出典元:Thomson Reuters Foundation:No evidence of FGM, India government tells court, appalling activists(12/29)