イスラエルはUNRWAの疑惑に関して証拠を示していない、独立調査報告書
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に関する調査が行われ、イスラエル側がいまだに証拠を提出していないことが明らかにされた。
フランスの元外務大臣による調査
イスラエルは以前、UNRWAの職員が、10月7日に行われたハマスの越境攻撃に参加していたと主張。これによりアメリカやイギリス、日本などがUNRWAへの拠出金を一時的に停止した。
その結果、ガザ地区でのUNRWAの活動が制限され、避難しているパレスチナ人への支援が滞り、多くの人々が飢餓に直面することになる。
その後、国連から委託されて、フランスの元外務大臣のCatherine Colonna氏が主導し、この問題について、UNRWAの中立性を評価するために独立して調査。その最終報告書が、4月22日に発表された。
それによれば、イスラエル側は、UNRWAの職員がテロ組織のメンバーであるという主張の裏付けとなる証拠を、まだ提供していないという。
My final report to the @UN @antonioguterres on the neutrality of @UNRWA is public.
It contains 50 recommendations across 8 critical areas.
Implementing these recommendations will help UNRWA fulfil its mandate and restore confidence when needed 👇https://t.co/0A2AeoT46H https://t.co/mDOtYlDhw7 pic.twitter.com/9FiDT4tWRW
— Catherine Colonna (@MinColonna) April 22, 2024
イスラエルに職員のリストを提供
さらに調査では、UNRWA側は綿密に調べるために、定期的にイスラエル側へ、職員のリストを提供していたことも判明。
その上でイスラエル政府は2011年以降、このリストに基づいた職員に関し、UNRWA側に対してあらゆる懸念も伝えていなかったという。
実はすでにほとんどの国がUNRWAへの支援を再開しており、イギリスの閣僚もColonna氏の調査を待って、UNRWAへの資金提供再開の決定を下すつもりだと述べていた。
イスラエル側は非難
この調査報告が発表された後、イスラエル外務省の報道官は4月22日、2135人以上のUNRWAの職員が「ハマス」または「イスラム聖戦」のメンバーであると主張。
Colonna氏の審査は不十分であり、「問題を回避しようとする努力であり、正面から取り組んでいない」と非難したという。
しかし人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の国連担当ディレクターであるルイ・シャルボノー氏は、次のように語っている。
「Colonna報告書の調査結果は、特に驚くべきことではないと思います。まだ支援していない政府は、絶望的な民間人に援助を届けられるよう、UNRWAへの全額資金提供を直ちに再開すべきです。イスラエルが戦争の手段として飢饉を利用したため、多くのパレスチナ人が飢餓に直面しています」(了)
UNRWA職員の疑惑に関しては、国連の内部監査部(OIOS)も調査をしており、これに関してはまだ調査が終了していない。(了)
出典元:The Guardian:Israel has yet to provide evidence of Unrwa staff terrorist links, Colonna report says(4/22)