NYにある「イサム・ノグチ美術館」が、親パレスチナの従業員を解雇
アメリカ・ニューヨーク市にある美術館が、親パレスチナの従業員を解雇し、著名な作家が授賞式を辞退することになった。
「クーフィーヤ」を着用したため
日系アメリカ人の著名な彫刻家、イサム・ノグチ氏によって、約40年前に設立された「ノグチ美術館」は先日、3人の従業員を解雇したという。
理由は、3人が勤務時間中に、パレスチナとの連帯を示すスカーフ「クーフィーヤ」を身に着けていたからだ。
美術館側は8月、従業員が今後、勤務時間中に、政治的メッセージやスローガン、シンボルを表現した衣服やアクセサリーを着用できなくなる、と声明を発表した。
この事態を受け、ピューリッツァー賞受賞作家のジュンパ・ラヒリ氏は、「ノグチ美術館」からの賞の受け取りを拒否したという。
Pulitzer Prize winning author Jhumpa Lahiri declined to accept an award from New York City’s Noguchi Museum after it fired three employees for wearing keffiyeh head scarves, an emblem of Palestinian solidarity, following an updated dress code https://t.co/Z0ThZA5WJz
— Reuters (@Reuters) September 26, 2024
「多様な来館者のため…」
「ノグチ美術館」側は9月25日にも声明を発表し、ラヒリ氏が賞を辞退したことを発表。次のように述べた。
「ジュンパ・ラヒリ氏は、服装規定の更新を受けて、2024年のイサム・ノグチ賞の受賞を辞退することを選択しました。私たちは彼女の視点を尊重しており、この方針が全ての人の意見と一致する場合もあれば、そうでない場合もあることを理解しています」
また同美術館の館長であるエイミー・ハウ氏も、別の声明で、「クーフィーヤ」の着用禁止について、次のように述べた。
「この方針は、私たちの多様な来館者が意図せず疎外されることを防ぐことを目的としています。また同時にイサム・ノグチの芸術と遺産への理解と鑑賞を促進するという中心的使命に、私たちが集中し続けることを可能にします」
病院も親パレスチナの看護婦を解雇
今年の5月、ニューヨーク市の病院は、受賞スピーチ中にガザでのイスラエルの行為を「虐殺」と呼んだ、パレスチナ系アメリカ人の看護師を解雇したという。
また昨年11月には、バーモント州でパレスチナ系学生3人が襲撃され、射殺された。二人はクーフィーヤを身に着けていたそうだ。
ラヒリ氏は2000年に、著書『Interpreter of Maladies』でピューリッツァー賞を受賞。今年の5月には、全米の大学で親パレスチナのデモが弾圧された際、数千人の学者と共に大学の学長らに書簡を送り、それに署名していた。
イサム・ノグチは20世紀を代表する彫刻家とされ、日本人の父親と、アメリカ人の母親の間に生まれる。母親のレオニー・ギルモアは、アイルランド系移民の子として生まれ、ニューヨークで長く、作家や編集者、翻訳者として活躍していたという。(了)
出典元:Al Jazeera:Author Jhumpa Lahiri declines NYC’s Noguchi Museum award after keffiyeh ban(9/26)