トランプ政権がメディア規制、CBS「60ミニッツ」のプロデューサーも辞任

アメリカ・CBSテレビの番組プロデューサーが、辞任の意向を明らかにした。
「独立した番組運営ができなくなった」
そのニュース番組とは「60ミニッツ」。これは1968年に放送が開始され、現在も最も人気のある報道番組とされている。
この番組のエグゼクティブ・プロデューサーであるビル・オーエンズ氏は4月22日、辞任すると明らかにした。オーエンズ氏は理由について、次のように述べていたという。
「過去数カ月の間で、これまで通り独立して判断を下し、番組を運営していくことが、私には許されなくなったと明らかになりました。この番組、そして私たちの理念を、あらゆる角度から、あらゆる手段を尽くして守ってきたが、番組が前進できるよう、私は身を引きます」
またオーエンズ氏は、番組自体は続けなければならないと主張。ただエグゼクティブ・プロデューサーとしての自分なしで、続ける必要があると述べたそうだ。
トランプ政権との訴訟を抱えていた
トランプ氏は2024年大統領選挙を前に、カマラ・ハリス氏とのインタビューを巡り、CBSニュースを提訴しており、オーエンズ氏は長い間、この訴訟に巻き込まれてきたという。
トランプ氏は、CBSニュースが10月7日のハリス氏とのインタビューを編集したと主張。そのインタビューでは、ハリス氏がイスラエルのガザ侵攻について語った場面が、放送の本編で使用されておらず、ネットでだけ公開されていたそうだ。
この編集についてトランプ氏は、CBSニュースが「党派的かつ、違法な選挙および有権者への干渉行為に関与した」と主張。しかしCBSはこの主張を否定し、トランプ氏の訴訟は政府関係者がジャーナリズム機関の編集方針を「罰する」ための試みだと非難したという。
激しくなるトランプ政権のメディア規制
実はトランプ氏は、以前からジャーナリストを「人民の敵」と非難しており、今年1月の大統領就任以来、アメリカのメディアへの攻撃をエスカレートさせている。
トランプ氏は3月、「CNN」と「MSNBC」を民主党の「政治機関」と非難。両社の行動を違法とみなし、調査の対象となるべきだと主張したという。
世界中の視聴者に向けて約50の言語でニュースなどを放送していた「ボイス・オブ・アメリカ(VoA)」も、トランプ氏が親会社である「米国グローバルメディア局(USAGM)」を廃止する大統領令に署名したことを受け、政府に雇用されていたジャーナリストが休職処分となった。
またホワイトハウスは今年の2月、大統領を取材できる報道機関を決定する権限を、1世紀以上にわたりに担ってきた「ホワイトハウス特派員協会(WHCA)」から奪い取る方針を発表。現在、ホワイトハウスを取材できる人間は、政権当局者によって選出されている。
さらにホワイトハウスは、AP通信社が「アメリカ湾」の名称を採用しなかったとし、同通信社の大統領執務室や大統領専用機での取材を禁止にした。(了)
出典元:The Guardian:60 Minutes executive producer leaves program over journalistic independence(4/22)