モロッコで激しい反政府デモ、汚職と公共支出への抗議で3人が死亡

北アフリカのモロッコでは先日から激しい反政府デモが行われ、3人のデモ参加者が死亡した。
病院の劣悪な環境に対する抗議がきっかけ
この反政府デモは、モロッコ南西部の町、アガディール市にある公立病院で8人の女性が死亡したことを受けて、病院の劣悪な環境に対する抗議がきっかけになったという。
そして「GenZ 212」と名乗る匿名の若者グループがネット上で呼びかけ、9月27日から抗議デモを実施。やがてデモは各地に広がり、すでに5夜連続で行われ、6夜連続の抗議活動の実施が呼びかけられている。
しかし10月1日には、モロッコ南部の都市、ルクリアで治安部隊がデモ参加者に発砲し、2人が死亡。10月2日には1人のデモ参加者も死亡し、合計3人が亡くなったそうだ。
ルクリアでは、ナイフで武装した集団が治安部隊の施設の一部と車両に放火。またデモ参加者が施設へ侵入しようとするのを、催涙ガスで阻めなかったため、治安部隊が発砲したという。
激しい暴力行為に発展
治安当局は当初、鎮圧を試みたが、デモは9月30日の夜には広範囲にわたる騒乱へとエスカレート。10月1日の夜には、デモがモロッコ北部のサレ市にも拡大し、人口密集地区で若者の集団が警察に投石し、商店で略奪し、銀行や警察車両に放火したという。
内務省は、デモ参加者との衝突で治安部隊員263人と、民間人23人が負傷したと発表している。
デモ参加者は、蔓延する汚職を非難し、2030年の「ワールドカップ」の準備に向けた数十億ドル規模の投資と、学校や病院への資金不足や劣悪な環境を対比して、非難しているそうだ。
実際にあるデモ参加者は、全国各地で建設中または改修中のスタジアムを指摘し、「スタジアムはできたのに、病院はどこだ?」と声を上げ、一般市民の犠牲の上に成り立つ汚職の蔓延を非難したという。
一方、現政権は、公共インフラよりもワールドカップへの支出を優先したことを否定。医療部門が直面している問題は、前政権から引き継がれたものだと主張している。
「GenZ 212」と名乗るグループはTikTokやInstagram、ゲーム用ソーシャルアプリ「Discord」などのプラットフォームを活用して支援を呼びかけており、すでに「Discord」のメンバー数は、先週の約3000人から現在では13万人以上に急増しているという。
今回のデモはモロッコにおいては、ここ数年で最大規模のものとなり、10以上の都市で人々が参加し、治安部隊により大量に逮捕されているそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Organisers call for sixth night of protest as Morocco death toll rises to three(10/2)