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ダム建設による水没から逃れるため、トルコの歴史的建造物が引っ越し!作業映像が圧巻

ダム建設による水没から逃れるため、トルコの歴史的建造物が引っ越し!作業映像が圧巻
twitter / @kotecinho

現在トルコで、大規模な引っ越しプロジェクトが進行しているのをご存知だろうか。

 

もっとも、住居を移すのは人間ではなく歴史的建造物なのだが。

 

築600年の建造物が移設

 

トルコ南東部、チグリス川のほとりにある町、ハサンケイフ。この町にある約600年の歴史をもつモスク(イスラム教の礼拝堂)が移設されることになった。

 

運搬の都合上、モスクは3つに分けられ作業が進められていたが、この度最後の部分の移設が完了したという。

 

この2500トンの建造物は、自動運搬装置に乗せられ、2km離れた場所にあるハサンケイフ新文化公園に運ばれたそうだ。

 

移設の裏に潜むダム建設

 

どうしてこのような引っ越しプロジェクトが行われているのか?それは、トルコ政府が決定した水力発電ダムの建設が原因だという。

 

ハサンケイフから約100キロ下流にあるイリスという村で、現在ダムの建設が進んでいる。トルコ国内で4番目の規模というイリス・ダムは、完成すると国内電力の2%を供給するといわれている。

 

しかし一方、ダムの建設により、チグリス川の水位が60メートル上昇するため、流域の数十もの町村は水没してしまう。

 

その中の一つハサンケイフは、ローマ帝国、ビザンティン帝国、オスマン帝国など、9つの文明にかかわり、1万年以上の歴史をもつ町である。

 

ここに残された遺跡を守るため、ダムの影響を受けない地域に移設することになったという訳だ。

 

ダム建設に反対の声も

 

今回移設されたモスクの他にも、これまでに幾つかの遺跡が「引っ越し」をしている。

 

今年8月には、1200年代につくられた公衆浴場「アルトゥクル・ハマム」が移設されたという。

 

 

 

これらの遺跡は全て前述のハサンケイフ新文化公園に移され、そこで保護されることになっている。

 

しかし、ハサンケイフの周辺には、ビザンティン帝国時代の要塞や、キリスト教、イスラム教にまつわる遺跡が残る洞窟が6000近くもあるという。

 

水没によりこれら全ての、何世紀にもわたる歴史が破壊されるとして、ダムの建設に反対する声もあるそうだ。(了)

 

 

出典元:Mail Online:Mosque on the move: 600-year-old holy building is split in two and taken on a robot transporter to a new site a mile away to make way for a new dam in Turkey (12/21)

出典元:Daily News:Works to relocate historical mosque in Hasankeyf continue (12/19)

出典元:National Geographic:ダム建設でトルコの遺跡が水没の危機 (2014/2/14)

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