米Facebookが新型コロナ“感染マップ”を開発、感染拡大防止の一助に?
新型コロナウイルスの感染は世界中で広まり、未だ終息への道筋は見えない。
中でも他の諸国と比較して遅れて感染が拡大した米国では、今や感染者数50万人超、死亡者数も2万人を突破。世界最多の犠牲者を出し、危機的な状況となっている。
このような状況を踏まえ米国のFacebookが新型コロナウイルスの“感染マップ”を開発し、感染拡大防止への一助としての期待がかかっている。
感染拡大の予測が可能に
今回Facebookが開発したのは「Disease Prevention Maps」というものだ。
このDisease Prevention Mapsには、以下の3つの情報が含まれる。
一つ目は“Co-location data”と呼ばれるもの。これは一つの地域にいる人々が、お互いに接触する可能性を示す情報だ。
そして二つ目が“Movement range trends”。こちらは地域において人々が自宅に留まっている程度を示すもの。
例えばサンフランシスコ・ベイエリアにおいては高い割合で人々が自宅にこもっているが、その一因はITといったテクノロジー系の職業はリモートワークが行いやすいことが挙げられる。
そして残る三つ目が“A social connectedness index”だ。これは国内における人々のつながりを明らかにすることにより、より多くの支援を必要としている可能性のある地域を示すものとなっている。
つまりこのDisease Prevention MapsはFacebookユーザーから収集された匿名の位置情報を用い、人々がソーシャル・ディスタンスを保っているか否か示すことにより、研究者らが新型コロナウイルスの感染がどこで拡大する危険性があるか予測することが可能になるツールであるということだ。
これについてFacebookのK.X. Jin氏とLaura McGorman氏は、“病院は適切な資源を得るために働いており、公的医療制度は適所に適切なガイドラインを設けることをしようとしている”と指摘。
その上でDisease Prevention Mapsの意義について、“そのため彼らは予防措置がうまく作用しているか、そしてウイルスがどのように拡大する可能性があるのか、より良い情報を必要としている”と述べている。
またこのDisease Prevention Mapsと同時に、Facebookは研究者がウイルスの監視ならびに感染拡大予測を行うための助けとなることを目的とした調査のためのリンクを、ニュースフィードに設置するともしている。
個人情報保護はどうなる?
気になるのは個人情報保護の観点だ。
Facebookは2018年に大規模な情報漏洩事件を起こしており、この際には世界中で数百万人ものユーザーのデータが曝されることとなった。
以来、同社に対しては個人情報保護に対する懸念が付きまとっている。
しかし今回のDisease Prevention Mapsに関しては、Facebookは研究者らに対し個人を特定する情報が公開されることはないとしている。
一方でFacebookは米国のユーザーを対象としてDisease Prevention Mapsを開始させるとしているが、日本でも同サービスが導入されることは無きにしも非ずだ。
同社のCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、これについて“もしその結果が期待できるものであれば、今後即座に世界中へと拡大させていく”と言及しており、その中には日本も含まれる可能性があるためだ。
また新型コロナウイルス対策として、新たなツールを開発したIT企業はFacebookだけには留まらない。
GoogleもFacebookのものと類似する“感染マップ”の開発に取り組んでおり、Microsoftも公衆衛生対策としてチャットボットを含むサービスの開発に着手しているという。
そのため日本でも近い将来、新型コロナウイルス感染拡大防止のため開発された何等かのツールが導入されていく可能性はある。
FacebookはじめとするIT企業が着手する、新型コロナウイルス対策ツールの数々。それらが功を奏し感染拡大に歯止めをかけることが出来るのか、今後の動向を注視していきたいところだ。(了)
出典:CNBC:Facebook is developing new tools for researchers to track if social distancing is working(4/6)
出典:The Japan Times:Facebook, promising privacy, draws on user data to help battle Coronavirus(4/7)