「北朝鮮では感染者の診断すらできない」脱北者の医師が新型コロナ蔓延の可能性を指摘
日本のネットでは現在、北朝鮮の金正恩氏がすでに「脳死状態」にあるとも報じられ、注目が集まっているが、新型コロナウイルスが北朝鮮国内でどのような広がりを見せているのか。
それに関して先日、北朝鮮から亡命した人物が、メディアのインタビューで語っている。
元医師の脱北者が証言
その人物とは、2012年に脱北し、韓国へ亡命したChoi Jung Hun氏(45)だ。彼は北朝鮮東部の街、清津で医師として働いていたとされている。
Choi氏がAP通信に語ったところによれば、SARSやインフルエンザが蔓延した時、北朝鮮では使えるものが体温計くらいしかなかったという。
しかも検査キットもなく、旧式の機器を使って治療を行っていたため、Choi氏や仲間の医師も、誰が感染しているのか、患者が死んだ後でさえ分からなかったそうだ。
また地元の保健当局も中央政府から、感染者の特定を求められたり、書類の提出を求められたりすることもなかったと述べている。
常に「アウトブレイクはない」と主張
新型コロナウイルスが世界中に拡散されていくなか、北朝鮮政府は感染者が「ゼロ」だと主張してきた。
しかしChoi氏は、「それは嘘だ」と語っており、「毎年毎年、季節ごとに異なった感染症が発生していますが、北朝鮮では『アウトブレイクはない』と言い続けています」と述べている。
その上でChoi氏は、新型コロナウイルスが北朝鮮国内でも広がっており、パートナーであり唯一の後ろ盾となっている中国との国境付近では、蔓延している可能性があると疑っている。
韓国の活動家も証言を得る
もっとも現在まで、北朝鮮国内で新型コロナの大量感染があるとする、外部の信頼できる情報はない。
また北朝鮮は1月から中国との国境を封鎖し、予防的措置として学校の新学期も遅らせ、数万人が隔離され、自宅待機になったとも言われている。
しかし中朝国境での密輸は引き続き行われ、韓国活動家らも北朝鮮の国民と接触し、人々がウイルスで死んでいるとの証言も得たという。ただしこれらの情報も正式に確認されていない。
ただ高麗大学医学部のKim Sin-gon教授も、次のように語っている。
「私はかなり多くの人々が死んでいると考えています。しかしこのことは決して外の世界には公開されないでしょう。なぜなら北朝鮮では、(コロナウイルスの)患者を診断することができないからです」
ただ2月にはロシアの外務大臣が、北朝鮮に新型コロナの検査キット、1500個を寄付したと発表。同様のキットは中国からも贈られ、またユニセフ、国境なき医師団からは医療用グローブやマスク・ゴーグルも送られたと言われている。(了)
出典元:TIME:Defectors Cast Doubt on North Korea’s Claim It Has Zero Coronavirus Cases(4/20)