【ロシア】著名な映画プロデューサーや劇作家に逮捕命令、反戦を唱えた罪
ロシア・モスクワの裁判所は、著名な映画プロデューサーや劇作家を逮捕するよう命じたという。
「虚偽の情報」を広めた疑い
逮捕命令が出された人物とは、ロシアの著名な映画プロデューサーであるアレクサンダー・ロドニャンスキー氏と、人気劇作家・演出家・俳優のイワン・ヴィリパエフ氏だ。
現在、2人はロシア国外にいるが、モスクワの裁判所は5月17日、2人がロシア軍に関する「虚偽の情報」を広めた(反戦を唱えた)として、逮捕するよう命じたという。
2人は、ロシア当局が身柄引き渡しに成功した時点で、拘束されることになる。
30本以上の映画のプロデューサー
ウクライナの首都・キーウ生まれのロドニャンスキー氏は、30本以上の映画のプロデューサーで、4作品がアカデミー賞外国映画賞にノミネートされたという。
ロシア映画界で最も影響力のある人物の一人とされるロドニャンスキー氏は2022年2月、ウクライナ侵攻が始まった数日後にロシアを離れ、戦争に対して公然と発言することを繰り返してきたそうだ。
このため2022年10月、ロシア司法省はロドニャンスキー氏を「外国人工作員」と断定。しかしロドニャンスキー氏は現在、ウクライナやヨーロッパ、ロサンゼルスを行き来しており、カンヌ映画祭にも参加していると言われている。
昨年、雑誌のインタビューに応じたロドニャンスキー氏は、次のように述べたという。
「私はすべてを捨てました。会社、家、すべてです。戦争が終わり、プーチンがいなくなれば、ロシアはいろいろな意味で罰せられるべきだと思っている。それは当然のことだ」
野党政治家にも実刑判決
一方、イワン・ヴィリパエフ氏は数年前からポーランドの首都・ワルシャワに住んで活動しており、ロシアのウクライナ侵攻に反対する発言も繰り返してきた。
このためロシア内務省は、ヴィリパエフ氏を連邦指名手配したそうだ。
またロシアの野党政治家で、反戦活動家のミハイル・クリーガー氏に対しても、モスクワの裁判所は5月17日、7年の実刑判決を言い渡したという。
クリーガー氏は、2020年からのSNSへの投稿で、連邦保安庁の建物への攻撃を行った者を賞賛し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の絞首刑に言及していたそうだ。
このため昨年11月には、テロリズムの正当化および暴力の脅威による憎悪の扇動の容疑で逮捕された。
ウクライナ侵攻後、ロシア政府はソビエト時代以来見られなかった反対意見の弾圧を繰り広げている。
戦争への批判をした者は、罰金や懲役刑に加え、仕事も解雇され、ブラックリストに載り、「外国人工作員」の烙印を押されるという。(了)
出典元:The Guardian:Russia orders arrest of Oscar-nominated film producer for criticism of war(5/18)