カホフカ・ダムの決壊後、川底から人間の頭蓋骨が出現、第2次大戦中のものか?
先週、ウクライナのヘルソン州にあるノヴァ・カホフカ・ダムが決壊したが、その後川の底から人の骨が発見されたと報じられている。
ヘルメットをかぶった頭蓋骨
ノヴァ・カホフカ・ダムが決壊した後、ドニプロ川の水位が下がり、干潟から多くの頭蓋骨が姿を現したという。
その骸骨が発見された正確な場所は明らかになっていないが、SNSに投稿された動画が拡散しているそうだ。
動画には、人間の頭蓋骨が複数、泥濘から姿を現している様子が映っており、中にはドイツ軍のヘルメットをかぶっていたものもあったという。(下の動画は、まだ正確に本物であるとは確認されていないが、一応ドニプロ川で撮影されたと考えられている)
Er komen spoken uit WOII boven nu de rivier droog komt te staan….
Damn. pic.twitter.com/TvVaDGNgat
— Guido (@envirosec) June 11, 2023
ソ連軍が反撃した「ドニプロの戦い」
ウクライナの国立博物館の歴史家であるAndrii Solonets氏によると、これらの遺骨は80年前に、現在のウクライナのニコポルとKamianka-Dniprovska.周辺で行われた大規模な戦闘により、死亡した人々のものである可能性があるという。
その戦闘は「ドニプロの戦い」と呼ばれ、第2次世界大戦でソ連軍がドイツ軍に反撃を行うため、600万人の兵士が参加したそうだ。
1943年末、ドイツのヒトラーは、鉱山のあるドニプロ川右岸のニコポルをどうしても押さえたいとし、軍を差し向け占領したという。
しかしその後、ドイツ軍は、ソ連軍のロディオン・マリノフスキー元帥率いる部隊との戦いに苦戦し、1944年2月に町を放棄せざるを得なかったそうだ。Solonets氏は、次のように述べている。
「ソ連軍の損失は3万人から6万人でした。ドイツ軍とルーマニア軍の損失は最大で2万人でした。ですから、理論的には、ヘルメットと頭蓋骨を映したこの映像は、それらの出来事と関連付けられる可能性があります」
ドイツ兵の遺体は放置された
またドイツ軍の遺物の専門家であるオレクシイ・ココット氏も、次のように指摘している。
「死んだ赤軍兵士(ソ連軍兵士)が土に埋められたのに対し、死んだドイツ軍兵士は野原に放置されただけだった・・・したがって、これらは本当にドイツ軍兵士である可能性があります」
実際にドイツ兵の遺体の多くは沼地に放置され、1956年のノヴァ・カホフカ・ダム建設で水没してしまったという。
遺体の回収には、ドイツ戦没者墓地委員会が関わることになるが、現在のドニプロ川でのロシア軍との戦争が終わるまで待つ必要があるそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Skulls left scattered after Ukraine dam breach may be from second world war(6/12)