ザポリージャ原発の爆破を計画か?周辺からロシア軍部隊が減少
ウクライナ南部にあるザポリージャ原発から、ロシア人の関係者や部隊が退去したとの情報が流れている。
周辺にいたロシア兵の数が減少
ウクライナ軍情報局(GUR)によれば、最近ザポリージャ原発付近では、ロシア兵の数が減少しているという。
情報局(GUR)の責任者であるKyrylo Budanov氏は、ロシア政府がザポリージャ原子力発電所の爆破計画を承認し、6基の発電ユニットのうち4基と、冷却池に爆薬を仕掛けたと主張している。
すでに先週、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアがザポリージャ原発で「テロ攻撃」を企てていると警告を発していた。
ロシア人の関係者も原発から退去
情報局によれば、現時点でザポリージャ原発を管理しているロシアの国営原子力企業「ロスアトム」の代表者数名が、すでに退去したという。
また「ロスアトム」と契約を交わし、この原発で働いているウクライナ人の従業員も、7月3日までに、できればクリミアに避難するよう言われているそうだ。
また原発の主任検査官、法務部長、物資担当の副部長もすでに退去し、付近の町、エネルホダルにいたロシア兵の数も減少しているとの見方を示した。
原発を基地化していたロシア軍
昨年、この原発を占領したロシア軍は、発電所を軍事基地化し、タービン建屋には装甲車や弾薬などのハードウェアが運び込まれたという。
そしてロシア兵たちは、ドニプロ貯水池の向こう側にあるウクライナの町を砲撃するために、原発の敷地を利用してきたそうだ。
そして今年の6月、ロシア軍はカホフカ・ダムを爆破。ダムは現在干上がっているが、原発付近には燃料を冷却する池が残っており、その水を使用していると言われている。
スリーマイル島と同じ事故が起きる可能性
元原発職員で、シニアエンジニアだったオレクシー・コヴィニェフ氏によれば、もし冷却池で爆発が起きれば、1979年に米・ペンシルベニア州で起きたスリーマイル島の事故と同じような、部分的な核メルトダウンにつながる可能性があるという。
もっともコヴィニェフ氏は、それが起きたとしても、ほとんどの放射能は封じ込められるだろうとし、災害は起きないとの楽観的な見方をしている。
また彼は、ロシア軍が分厚い鋼鉄とコンクリートで守られた原子炉を損傷させることは難しいだろうとしながらも、次のように述べている。
「通常であれば、絶対に安全です。ただ破壊しようと思えば、できます。何度も砲撃できる。そうすれば、放射能を放出する原子力事故を引き起こす可能性があります」
ロシア軍の侵攻が始まる前、ザポリージャ原発では1万1500人が働いていたが、現在は推定2500人が残っているという。
原発のウクライナ人所長を含む何人かは、「ロスアトム」と契約を結んでおり、他の従業員は拒否し、セキュリティパスを剥奪されたそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Russia reducing its presence at nuclear plant, says Ukraine(6/30)