米政府、イスラエルへの武器輸送を一時停止、ラファ侵攻への抗議
アメリカ政府は、ガザ地区南部のラファへ侵攻したイスラエルに対して、一時的に武器輸送を停止したことを明らかにした。
数千発の大型爆弾の供給を停止
アメリカのロイド・オースティン国防長官は5月8日、ラファへの地上侵攻に抗議し、イスラエルに対して数千発の大型爆弾の供給を一時停止したことを認めた。
オースティン国防長官は上院の公聴会で、次のように述べた。
「われわれは当初から、イスラエル軍が戦闘空間にいる民間人を考慮せず、保護せずに、ラファへ大規模な攻撃を開始するべきではないと、ずっと明確にしてきました。そして再び、状況を精査した結果、大型の弾薬の輸送を1回、停止しました」
アメリカ政府の関係者によれば、輸送が一時停止されたものの中には、2000ポンド爆弾も含まれていたという。このような爆弾は、人口密集地域での使用が戦争犯罪となる可能性があるという法的懸念から、輸送が一時停止されたそうだ。
他の兵器についても検討
アメリカ国務省の、マシュー・ミラー報道官も8日、イスラエルへの1回の武器輸送の停止を認めた上で、「私たちは、他の兵器システムについても(輸送停止を)検討しています」と述べた。
またアメリカの政府関係者は、イスラエルがラファへの攻撃を推し進めた場合、アメリカ製爆弾の引渡しの保留は1回限りではなく、アメリカとイスラエルの関係における大きな転換の始まりとなるだろう、と述べたという。
さらに、すでに承認された武器の納入が遅れる可能性があり、承認を待っている武器の輸送も障害に直面する可能性があると指摘している。
アメリカのバイデン大統領は4月4日、イスラエルのネタニヤフ首相との電話会談で、ラファへの攻撃は、(イスラエルの)国家体制の大幅な「再評価」につながると述べたという。
その一方、バイデン大統領は5月7日、「ホロコースト追悼式典」の演説において「(イスラエルが)独立したユダヤ国家として存在する権利は、鉄壁だ。たとえわれわれと意見が異なる場合でも」と語り、イスラエルへの連帯が揺らがないことを表明した。
ラファ最大の病院も運営を停止
一方、ガザ南部のラファでは、数千人以上にも及ぶパレスチナ人の住民らが、ガザ地区中部へ避難を始めているという。
またイスラエル軍がラファなどの主要な検問所を封鎖したため、支援物資が搬入されず、ラファ最大の「アル・ナジャール病院」は、運営を停止。また市内にある病院の燃料も、あと3日分しか残っていないと言われている。
ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長は、改めてエジプトとラファとの国境検問所を再び開き、ガザ地区への燃料輸送を許可するよう訴え、SNSに次のように投稿した。
「燃料がなければ水は止まり、病院は機能せず、薬や食料も移動できません。国民はすでに飢餓の危険にさらされている。今、ガザには燃料が必要なのです」(了)
In the past 2 days, no fuel has entered Gaza.
Without fuel, water stops, hospitals can’t function, and medicine and food cannot move. The population is already at risk of famine.
We need fuel in Gaza now. pic.twitter.com/hvMzWun1B2
— Catherine Russell (@unicefchief) May 8, 2024
出典元:The Guardian:US says hold on weapons delivery won’t be a one-off if Israel presses ahead with Rafah offensive – live(5/8)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: Fuel running out at Rafah’s hospitals(5/8)