ネコ科の動物を死に至らしめる、ウイルスの変異株を発見【アメリカ】
アメリカに生息するマウンテンライオン(ピューマ)から、あるウイルスが発見され、警戒が呼び掛けられている。
「ラストレラ・ウイルス」
今月、学術誌「Emerging Infectious Diseases」に掲載された内容によれば、今回見つかったウイルスは、RusV(Rubivirus strelense)とも呼ばれる「ラストレラ・ウイルス(rustrela virus)」の変異株だという。
このウイルスは、昨年コロラド州ダグラス郡に生息していた、雌のマウンテンライオンの体から検出されたそうだ。
このウイルスは、人間に皮膚発疹を引き起こす風疹ウイルスに関連するもので、野生のネコ科の動物だけでなく、飼いネコなどにも影響を与える可能性が指摘されている。
筋力・運動能力の低下の症状
2023年にコロラド州で発見された雌のマウンテンライオンには、皮膚に病変があり、後ろ足に重度の筋力低下の兆候が見られ、立ち上がるのを嫌がり、運動能力が低下していたという。
野生生物保護官はその後、この病気の原因を調べるため、またはマウンテンライオンの苦痛を終わらせるため、麻酔をかけて、殺処分したそうだ。
そして研究者らが、未知の病気の原因を調査する作業を開始。組織サンプルや病歴、遺伝子配列の調査から、このマウンテンライオンが「ラストレラ・ウイルス」の変異体であるRusVに罹患していることが示唆された。
1974年にスウェーデンで初めて確認
この疾患は「よろめく病気」とも呼ばれ、四肢障害を示すネコ科動物の致命的な神経症候群であり、RusVが原因であることが最近になって特定されたという。
ナショナル・ジオグラフィックによれば、この病気は1974年にスウェーデンで初めて確認され、その後の研究で、このウイルスが北欧の他の場所にも存在しており、オーストリアとドイツにも感染が頻発している場所があることが判明した。
このウイルスによる感染は、ライオンや有袋類、カワウソ、ロバなど、さまざまな動物園の動物でも報告されているという。
またこの病気の感染例は飼いネコで最も多く見つかっているが、この病気で死亡したネコの数に関する公式統計は存在しない。
さらに同様の症候群が45年前にアラバマ州のネコでも報告されていたが、当時は原因が不明なままだったと言われている。
すでに米疾病予防管理センター(CDC)もこの病気については把握しており、ネコの飼い主などに警戒を呼び掛けている。(了)
出典元:INDEPENDENT:New virus that causes ‘staggering disease’ discovered in US – and it can kill pet cats and those in the wild(8/23)
出典元:National Geographic:A deadly disease that affects cats big and small found in U.S.(8/23)