約2000年前の古代の巻物、AIを駆使して内部の画像生成に成功
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古代の炭化した巻物の調査が行われ、AIを使い、内部の画像を作成することに成功したという。
ベスビオ山の噴火で炭化した巻物
その巻物は数百巻あり、1750年代にローマの町、ヘルクラネウムの豪華な別荘の遺跡から発見されたという。
ヘルクラネウムは西暦79年のベスビオ山の噴火で、近隣のポンペイとともに破壊され、発見された巻物も炭化し、解読不能な状態で、物理的に広げると崩れる状態だったそうだ。
このため学者や科学者たちは、ナポリ国立図書館に所蔵されているこの巻物を解読する方法を、250年以上にわたって模索してきたという。
しかし2023年には、数人のテクノロジー企業の幹部が「ベスビオ・チャレンジ・コンテスト」を主催し、機械学習やコンピュータービジョン、幾何学を用いて巻物を解読する努力に対して賞金を提供すると申し出たそうだ。
そして2月5日、研究者らは、英・オックスフォード大学ボドリアン図書館に所蔵されている3つの巻物のうち1つの内部画像を、初めて生成することに成功した。
巻物をスキャンし、画像をつなぐ
この巻物は、オックスフォード近郊の町、ハーウェルにある「ダイヤモンド・ライト・ソース研究所」でスキャンされたという。
この研究所では、シンクロトロンと呼ばれる粒子加速器を使用して、非常に強力なX線を発生させることができるそうだ。
スキャンの後、研究者たちは、AIを使用して画像をつなぎ合わせ、文字が書かれている場所のインクを探し、テキストの鮮明度を高めたという。
このプロセスにより、巻物の3D画像が作成され、研究者はセグメンテーションと呼ばれるプロセスを通して、仮想的に巻物を広げることができるようになったそうだ。
「ベスビオ・チャレンジ」の共同創設者である、米・ケンタッキー大学のコンピューター科学者ブレント・シールズ氏によれば、スキャンされたヘルクラネウムの巻物には、これまでに見たことのないほど多くの復元可能なテキストが含まれているという。
ただし、まだテキストのほとんどは解読されていない。判読できた数少ない単語の1つは、古代ギリシャ語で「嫌悪(disgust)」を意味する言葉だったそうだ。
まだこのプロセスは始まったばかりだが、研究者たちは画像の質とテキストの読みやすさを、さらに向上できると非常に自信を持っているという。(了)
出典元:ABC News:AI and scientists unite to decipher old scrolls charred by the Vesuvius volcano(2/6)