「ハマス」が人質の解放を無期限に延期すると発表、イスラエルの停戦違反が原因
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イスラエル軍はガザ地区で、これまでも度々停戦違反を続けており、「ハマス」側は2月10日、人質の解放を無期限に延期すると発表した。
週末に予定されていた解放を延期
「ハマス」のスポークスマンは10日、テレグラムで声明を発表。2月15日に予定されていたイスラエル人の人質の解放を、追って通知があるまで延期するとし、次のように述べた。
「過去3週間、我々の指導部は、イスラエル軍の停戦違反と合意条件の不遵守を監視してきた。これらの違反には、ガザ北部への避難民の帰還の延期、ガザ地区のさまざまな地域での砲撃と銃撃、合意されたあらゆる形態の救援物資の搬入許可の不履行などが含まれる。一方、我々は義務をすべて果たしている」
その上で「イスラエル占領軍が停戦協定を順守する限り、我々は協定の条件を守ることを約束する」と述べた。
停戦の条件では、毎日600台のトラックに支援物資が満載され、ガザ地区に運ばれることになっていた。当初は予想を上回ったが、最近では支援物資の搬入量は大幅に減少し、1日330台になっているという。
「ハマス」側も以前から、イスラエル軍がテントや医療物資、発電機、重機の搬入を、故意に阻止していると指摘してきた。
またガザ地区では停戦合意が発効してから、すでに25人のパレスチナ人がイスラエル軍によって銃撃されるなどして殺害されている。
国内ではネタニヤフ首相に批判
この「ハマス」の発表は、人質の解放を願うイスラエル国内にも動揺を与えているという。
しかし人質の家族たちの怒りは、「ハマス」にではなく、停戦合意を「意図的に妨害」し、援助を阻止し続け、パレスチナ人を殺害し、第2段階の交渉を遅らせているネタニヤフ首相に向けられているようだ。
実際、人質の母親であるEinav Tsengaukerさんは、イスラエル軍のラジオで「ハマスの発表は、ネタニヤフ首相の無謀な行動の直接的な結果だ」と非難したという。
また専門家も「ハマスの決定に対する、イスラエル国民の反応は、ネタニヤフ首相に対する怒りだ」と指摘。「今後24時間以内にネタニヤフ首相に対する非常に激しい、怒りに満ちた、広範な反発が起きても驚かない」と述べている。
ヨルダン川西岸では4万人が強制避難
イスラエル軍は1月21日以来、ヨルダン川西岸地区に対しても大規模な攻撃を行っているが、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によれば、すでに強制的に避難させられたパレスチナ人が4万人に上るという。
しかも、避難させられるパレスチナ人の数は「驚くべきペース」で増加し続けており、いくつかの難民キャンプからは、住民がほぼ全員いなくなったそうだ。
またイスラエル軍は昨年11月にレバノンの「ヒズボラ」と停戦に合意したにも関わらず、何度も停戦違反を繰り返し、南部を爆撃し続けている。
さらにアメリカのトランプ大統領は、先日ガザ地区のパレスチナ人を「他国へ強制移住させる」と発言したが、10日にはテレビのインタビューで「パレスチナ人には帰還する権利はない」と述べたという。
しかし国務長官やホワイトハウスの報道官は、以前「パレスチナ人の移住は一時的なものだ」と説明していた。(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: Hamas halts captive release citing Israel’s Gaza ceasefire violations(2/10)