ガザ地区でイスラエルの攻撃により40人が死亡、「ハマス」は停戦案を協議

イスラエル軍は、ガザ地区にある難民キャンプや避難施設を容赦なく攻撃しており、4月17日も数多くのパレスチナ人が殺害された。
安全地帯にも空爆、16人が死亡
民間防衛隊のマフムード・バッサル報道官によれば、17日にはイスラエル軍のミサイル2発が、ガザ地区南部のアル・マワシ地区にある複数のテントに着弾し、少なくとも16人が死亡(大半は女性と子供)、23人が負傷したという。
またアル・マワシ地区付近では、別の空爆も行われ、テントで生活していた親子が死亡。他の難民キャンプでも2回の空爆が行われ、8人が死亡し、複数人が負傷したそうだ。
アル・マワシ地区は、イスラエル軍が安全地帯に指定した場所であり、多くのパレスチナ人がそれを信じ、避難している。
At least 15 people, most of them women and children, have been killed in an Israeli strike on tents sheltering displaced Palestinians in al-Mawasi, Khan Younis, according to Gaza’s Civil Defence.
The strike sparked fires in the area, with many victims reportedly suffering burns… pic.twitter.com/l7VIgEAQyQ
— Middle East Eye (@MiddleEastEye) April 16, 2025
パレスチナの通信社「Wafa」によれば、ガザ地区南部のラファと中部のDeir el-Balahでも、イスラエル軍の攻撃により、少女を含むパレスチナ人5人が死亡したという。
北部のジャバリアでも、避難民に対する攻撃が2件発生。1件では、1家族のうち少なくとも7人が死亡し、もう1件では避難所として使われていた学校で6人が死亡したそうだ。
また北部のガザ市でも、イスラエル軍の砲撃で2人が死亡している。
このような一連の攻撃により、17日にはガザ地区全域で少なくとも40人が死亡したという。一方、医療関係者は「アルジャジーラ」に対し、夜明け以降、ガザ地区で少なくとも32人が死亡したと伝えている。
「戦争犯罪を認めた発言だ」
イスラエルのカッツ国防相は4月16日、ガザ地区に支援物資を一切搬入させないと明言。これに対し「ハマス」側は、「これは、飢餓を武器として利用し、7週間連続で罪のない民間人に食料、医薬品、水、燃料といった基本的な必需品を供給しないという戦争犯罪を公然と認めたものだ」と非難した。
イスラエル軍は3月2日以来、ガザ地区への食糧や燃料、水、医薬品などの援助物資の搬入を阻止しており、市場では価格が高騰し、物資も不足しており、ほとんどの人々はそこで食料を買う余裕がないという。
このためガザ地区の住民のほぼ全員が、支援団体が提供している「チャリティキッチン」の食料に頼っているそうだ。
医療慈善団体「国境なき医師団」は4月16日、ガザ地区が「パレスチナ人の集団墓地」になりつつあると述べている。
「ガザは、パレスチナ人とその支援をする人びとの『集団墓地』と化しています──」
国境なき医師団はイスラエル当局に対し、ガザ封鎖を直ちに解除し、パレスチナの人びとや援助従事者、医療者の命を守るよう求めます。
そして全ての紛争当事者に対し、停戦の回復と維持を求めます。— 国境なき医師団 (@MSFJapan) April 17, 2025
「ハマス」は内部で停戦案を協議
一方、「ハマス」は4月17日、イスラエル側が提案した停戦案について、内部での協議がほぼ終わったと明らかにし、今後エジプトやカタールの仲介者に回答書を送る予定だと述べた。
「ハマス」によれば、イスラエル側は45日間の停戦を提示し、見返りに数十人の人質の解放を要求したという。また武装解除も求めているが、「ハマス」側は、これには応じない方針のようだ。
イスラエルと「ハマス」の間には依然として大きな亀裂が残っており、エジプトやカタール、アメリカの仲介者による努力は行き詰まり、停戦合意の実現はまだ遠いとの見方が示されている。
しかもイスラエルのカッツ国防相は、「どのような合意が成立したとしても、イスラエル軍はガザ地区で占領した緩衝地帯、そして隣国のシリアとレバノンにも駐留する」と述べている。
イスラエルの退役軍人も戦闘停止に署名
一方、イスラエル国内では、新たに数百人の退役軍人が、ガザ地区での戦闘を停止し、人質の解放を最優先にすべきだとする嘆願書に署名したという。
またイスラエル軍の歩兵部隊と特殊部隊の元隊員315人も、同様の嘆願書に署名したそうだ。
イギリスで最大のユダヤ人団体「英国ユダヤ人代表委員会」の36人が、イスラエル政府によるガザ地区への新たな軍事作戦に反対を表明。この声明は「フィナンシャル・タイムズ」紙に掲載された。
彼らは「人質が一人も戻らず、何百人ものパレスチナ人が殺害された」とイスラエル政府を非難。ガザ地区でパレスチナ人の救急隊員15人が殺され、集団墓地に埋められたことも指摘し、「私たちのユダヤ的価値観は、立ち上がり、声を上げるよう私たちを駆り立てる」と述べたという。(了)
出典元:The Guardian:Wave of Israeli airstrikes kill at least 40 across Gaza, says civil defence agency(4/17)
出典元:Aljazeera:LIVE: At least 29 killed in Israeli attacks on Gaza today(4/17)