NASAの「キュリオシティ」が、火星に古代生命がいた可能性を示す証拠を発見

NASAの火星探査車「キュリオシティ」は、火星に古代生命が存在した可能性を示す、これまでで最も有力な証拠を発見した。
炭酸塩鉱物のシデライトを発見
火星にあるゲール・クレーターの中央峰、シャープ山の岩石を掘削した際、「キュリオシティ」はシデライト(炭酸塩鉱物)の存在を発見したという。
シデライトは、有機物に富んだ汽水や淡水の堆積物の中で最も作られやすいと言われ、火星にシデライトが存在するということは、かつて炭素循環があったことを示唆しているそうだ。
このことは火星が以前、生命の存在できた環境だったことや、ひいては生命が存在していた可能性まで示唆しているという。
今回の研究は、4月17日に「サイエンス」誌に発表されており、サンプルが地球に運ばれれば、火星に古代生命がかつて繁栄していた証拠が見つかる可能性があると、期待が高まっている。
火星における最大の疑問の1つだった
今回の研究の筆頭著者で、カルガリー大学地球・エネルギー・環境学部の准教授であるベン・トゥトロ氏は、ライブサイエンス誌に次のように語っている。
「これらの岩石に、シデライトがこれほど大量に含まれていたことが明らかになった時、信じられないほど興奮しました。火星科学における最大の疑問の1つは、『炭酸塩がどこにあるのか?』です。ですから、この発見がいかに重要かをすぐに理解しました」
そもそも過去約40億年の間、地球の炭素循環は、生物が住み続けるための鍵となってきたという。
炭素循環は、大気や陸地、海洋の間で炭素を循環させることで、あらゆる生物にとって重要な物質を提供し、生物が繁栄するために、大気をコントロールしてきたそうだ。
例えば火山から噴出した二酸化炭素が、カルシウムを豊富に含む海洋に吸収され、石灰岩を形成。そして、石灰岩はマントルに沈み込み、加熱されて再び溶岩となって放出されるそうだ。
そして火星には、古代の河川や湖が存在していたことを示す、豊富な痕跡があったにもかかわらず、探査車も衛星のスキャンも、炭素循環を示唆するような炭酸塩鉱物の証拠を発見できていなかった。
そのため今回の「キュリオシティ」による発見は、この状況をすべて一変させたという。(了)
出典元;Livescience:Scientists reveal signs of crucial life-sustaining process on Mars: ‘I knew right away how important this discovery was’(4/17)