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国連のIPCが新たな報告、ガザ地区で13万2000人の子供が急性栄養失調

国連のIPCが新たな報告、ガザ地区で13万2000人の子供が急性栄養失調
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国連の「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」が8月22日、新たな報告書を発表し、ガザ地区で飢饉が深刻なレベルに達していると警告を発した。

 

5月に発表した推定値の2倍以上

 

IPCの報告書によれば、ガザ地区では6月を通して、少なくとも13万2000人の5歳未満の子供が急性栄養失調に陥っていると推定されているという。

 

この数は5月に発表した推定値の2倍以上にあたり、死亡リスクの高い重症の子供4万1000人以上が含まれているそうだ。

 

またガザ地区の住民の「大半」が、栄養価と質の両面で極めて不足した食事を摂取しており、約5万5500人の栄養失調の妊婦と授乳中の女性も、緊急の栄養支援が必要になるとし、次のように警告した。

 

「支援物資の制限により、急性栄養失調の治療と予防のための栄養物資が枯渇に近づいており、医療施設は治療を停止せざるを得なくなる可能性がある」

 

また報告書では、9月末までに64万1000人のパレスチナ人が「フェーズ5」、すなわち壊滅的な状況に陥ると予測している。

 

「ガザ地区で飢饉は起きていない」

 

一方、イスラエル外務省は、国連のIPCの報告書を否定し、声明で「ガザに飢饉は発生していない」と発言。報告書は「ハマスの嘘」に基づいていると非難した。

 

またイスラエルのネタニヤフ首相も、IPCの報告書を激しく非難。「IPCの報告書は全くの嘘だ。イスラエルは飢餓政策をとっているわけではない。イスラエルは飢餓を予防する政策をとっている」と述べたという。

 

しかしイスラエルは数カ月もガザ地区を封鎖し、支援物資の搬入も最低限な量しか許可せず、事実上の「飢餓政策」をとり続けてきた。

 

また最近は批判の高まりから、一部の国による支援物資の空中投下を許可しているが、国連や人道支援団体は、それらの支援物資は必要量の「ほんの一滴」に過ぎないと批判している。

 

「歴史は決して許さない」

 

IPCの報告書を受け、国連のグテーレス事務総長は、ガザ地区の飢饉を「人災であり、道徳的な告発であり、人類自身の失敗である」と非難。「X」において、次のように投稿した。

 

「占領国として、イスラエルは国際法の下で明白な義務を負っており、住民への食料と医薬品の供給を確保する義務もその1つだ。このような状況が不処罰のまま続くことを許すことはできない」

 

イギリスのラミー外相も、「全く恐ろしいことであり、完全に予防可能だ」と述べ、イスラエルが十分な人道支援を拒否したことが、「人災による大惨事」を引き起こしたと述べた。

 

クウェート外務省も声明で、イスラエルの政策は「国際法および国際人道法」、そして国連安全保障理事会の決議に明白に違反し、関連する国際的な決議を無視していると指摘。

 

さらに国際社会と安全保障理事会に対し、「ガザ地区への人道支援の緊急受け入れを許可し、兄弟であるパレスチナ人に対するジェノサイドを止め、イスラエル軍が犯した犯罪の責任を負わせるための行動をとるよう」求めた。

 

国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」のエリカ・ゲバラ・ロサス氏は声明の中で、「本日の飢餓宣言は、各国がイスラエルに対し、ガザ地区におけるジェノサイドの終結を迫る圧力をかけなかったことに対する、痛烈な非難だ」とし、次のように述べた。

 

「この飢饉は、イスラエルによるガザ地区における意図的な飢餓キャンペーンの直接的な結果です。人道支援の意図的な妨害、生活基盤の破壊、そして民間人の直接的な殺害は、イスラエルが進行中のジェノサイドの一環として、ガザ地区のパレスチナ人の物理的な破壊を意図し、そのような生活環境をいかに強制しているかを明確に示しています。衰弱した子供たちが死んでいくのを、私たちが傍観してきたことを、歴史は決して許さないでしょう」

 

ガザ地区では8月22日もイスラエル軍の攻撃が続けられ、夜明け以降、ガザ地区全域で少なくとも65人のパレスチナ人が殺害され、ガザ市だけで37人が死亡している。(了)

 

出典元:Aljazeera:LIVE: UN slams man-made famine in Gaza, Israel pounds Gaza City(8/22)

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