トランプ氏の政治的復讐か?FBIがジョン・ボルトン氏の自宅を家宅捜査

FBI(連邦捜査局)は8月22日、元国家安全保障問題担当大統領補佐官の自宅を家宅捜索した。
機密文書の取り扱いに関する捜査
FBIは、ワシントンD.C.にある、ジョン・ボルトン元国家安全保障問題担当大統領補佐官の自宅を家宅捜索し、その後彼の事務所にも姿を現したという。
ボルトン氏の自宅への家宅捜索は、機密文書の取り扱いに関する捜査の一環とみられているが、詳細は明らかにされていない。
カシュ・パテルFBI長官は22日の朝、「X」に謎めいたメッセージ、「法の上に立つ者はいない。 @FBI 捜査官、任務中」と投稿したそうだ。
ボルトン氏とは?
ボルトン氏はトランプ1次政権時に、国家安全保障問題担当補佐官になり、17カ月間務めるも、その後イランやアフガニスタン、北朝鮮問題をめぐってトランプ大統領と対立した。
そして、2019年に国家安全保障問題担当補佐官の職を解任された後、ボルトン氏はトランプ氏への批判を強め、回顧録を執筆した。
この回顧録の出版は問題視され、その後、機密情報の不正使用をめぐる捜査が行われ、トランプ政権から訴訟が起こされたが、2020年6月、判事が回顧録の出版を認める判決を下した。
その際、トランプ氏はボルトン氏について「これまでの他の人々と同様に、彼は非常に大きな代償を払わなければならない」と述べたという。
また回顧録『それが起きた部屋』の中で、ボルトン氏は大統領補佐官時代の経緯を詳細に記述。トランプ氏が自身の再選を確実にするために、中国に協力を求めたと非難したそうだ。
さらにボルトン氏は、フィンランドが独立国であることを理解していないなど、トランプ氏が地政学的な基本を知らないと明らかにした。
結局、この本はトランプ氏が出版を禁じようとしたが、ベストセラーになったという。
「彼は本当に最低な人間だ」
今回のボルトン氏の家宅捜索について、トランプ氏は「知らされていなかった」と述べ、次のように記者団に語った。
「私はジョン・ボルトン氏のファンではない。彼は本当に最低な人間だ。賢い人間ではない。非常に非愛国的なところもある。私は真相を究明するつもりだ」
ジョー・バイデン前大統領の特別顧問を務めたメーガン・ヘイズ氏はCNNのインタビューで、次のように述べた。
「今回の襲撃は極めて政治的で、極めて卑劣であり、トランプ大統領の純粋な復讐の匂いが漂い、FBIの予算の無駄遣いだ」
トランプ氏は今年の1月、大統領に復帰した時、ボルトン氏に対するシークレットサービスの警護を解除した。(了)
出典元:The Guardian:FBI raids home of John Bolton, Trump’s ex-national security adviser(8/22)