中国の揚子江、漁業禁止で、絶滅危惧種の個体数が回復

中国にある揚子江(長江)では以前から商業漁業が禁止され、その結果、さまざまな動物が戻ってきていることが、新たな研究で明らかにされた。
流域全体で10年間の禁漁措置
揚子江は中国で最長かつ最大の河川で、人口の約30%がこの流域に居住し、揚子江経済ベルトを構成する11の省・直轄市は、中国の国内総生産(GDP)の約47%を生み出しているという。
しかし1950年代以降の急速な都市開発、ダム建設、数十年にわたる乱獲、汚染、生息地の劣化は、水質の悪化と生物多様性の危機をもたらした。
そこで中国政府は、2021年に揚子江流域全体で10年間の禁漁措置を実施。河川警察による厳格な罰則の適用と、広範な環境管理を継続したそうだ。
その結果、絶滅危惧種の個体数も回復していることが明らかになった。この成果は2月12日に、「Science」誌において発表されている。
魚の種類も増加
中国科学院(武漢)の水生生物学者、Yushun Chen氏らは、禁漁措置の影響を評価するため、2018年から2023年までのデータを用いて、禁漁措置発効前後の揚子江の魚類群の健全性を評価した。
その結果、サンプルで採取された魚類の総重量は、この期間に2倍以上に増加。サンプルに含まれる魚種の数も、13%増加したことが判明したという。
魚の総数はほぼ横ばいだったが、経済的に価値のあるクロダイ(Megalobrama terminalis)やシロダイ(Parabramis pekinensis)など、食物網の上位に位置する大型魚種が増加。一方で、採取された小型魚種の総重量は18%減少したそうだ。
スナメリやチョウザメも回復の兆し
また注目すべき点は、揚子江に残る唯一の淡水哺乳類である「揚子江スナメリ(Neophocaena asiaeorientalis asiaeorientalis)」の増加で、その個体数は2017年の445頭から、2022年には595頭に増えていたという。
この増加は、エサとなる大型魚の豊富さ、船舶との衝突や魚の混獲に関連する死亡数の減少、船舶のスクリューによる水中騒音など、他のストレス要因の減少も影響していると考えられている。
さらに揚子江チョウザメ(Sinosturia dabryanus)などの絶滅危惧種の個体数も、回復していることが明らかになった。
今回の研究論文の共著者で、フランス・トゥールーズ大学の生態学者であるセバスチャン・ブロス氏は、「Live Science」へのメールで、次のように述べている。
「これらの結果は、生物多様性の回復には強力な政治的決定が必要であることを示しています。生物多様性の喪失は、しばしば不可逆的と見なされているため、これは心強いメッセージです」
ただ1950年代以降の開発・乱獲や水質汚染により、揚子江カワイルカ(Lipotes vexillifer)とチャイニーズヘラチョウザメ(Psephurus gladius)は絶滅し、135種の魚類も姿を消したと言われている。(了)
出典元:Livescience:China banned all fishing to save the Yangtze River. This ‘nuclear’ option appears to be working(2/12)

























