狂犬病は犬よりコウモリから多く感染していた!米疾病管理予防センターが報告
アメリカの疾病管理予防センター(CDC)が狂犬病に関する新たな報告書を発表し、注目を集めている。
野生動物が狂犬病ウィルスの宿主に
狂犬病は死に至る病とされ、1960年代までには犬などの飼い慣らされた動物を介して、人間にも感染し、患者は増えていたという。
もっともその後、犬などの動物にはワクチンが打たれたのだが、他の野生動物は主要な狂犬病の宿主となり続け、アメリカでは毎年感染した人、3人から1人が亡くなっているそうだ。
そして今回発表された報告書では、依然数千に及ぶ野生動物の中に狂犬病ウィルスが存在していることが明らかにされた。
大多数がコウモリから感染していた
疾病管理予防センターの報告書によれば、今回の調査では1938年から2018年までの狂犬病のデータを調べ、2006年から2014年までに狂犬病の治療を受けた人々の数を比較したという。
そして1960年から2018年までに125人が狂犬病と診断され、そのうち89人がアメリカ国内で感染したそうだ。
またこのうちの62人がコウモリから狂犬病に感染しており、残りの人々はアライグマやスカンク、キツネ、野生の犬などから感染したとされている。
アメリカ国内で感染しなかった人は、海外旅行で犬に咬まれたことで発症したと考えられているとか。
症状が現れるまで1カ月かかる
狂犬病は主に、ウィルスを持った動物の唾液を通し、咬まれたり引っかかれたりした時に感染するという。
感染した場合の最初の徴候は、ハチに刺されたような痛みやヒリヒリとした感覚があり、その後熱が高くなり、ひどい場合には昏睡や興奮状態に陥って死に至るそうだ。
そして症状が見られる前に治療を受けなければ、99%以上の確率で致命的な結果になるともいわれている。
しかも病気の症状が現れるまで、通常1カ月かかるため、もし犬やコウモリなどに咬まれたり引っかかれたりした場合には、症状が現れるのを待つのではなく、すぐに病院などへ行き、予防措置をとった方がいいといわれている。
また報告では、コウモリは都会や民家の屋根裏、ロッジ、キャンプ場など、人々の近くに住んでいるため、注意が必要だと呼びかけている。
ただしアメリカに住むコウモリは自然の生態系で重要な役割も果たしており、その多くは狂犬病のウィルスを持ってないことも、報告書の著者は述べているという。(了)
出展元:ABC News:Rabies in humans comes from bats most of the time, not dogs(6/14)
出展元:CDC:Rabies in the U.S.(6/11)