グーグルのAI、人が数ヶ月かかるICチップの内部設計を6時間で行う
コンピューターに使われる集積回路(IC)の中には、CPU(中央演算処理装置/プロセッサー)やGPU(画像処理専門のプロセッサー)、メモリーなど、さまざまなコンポーネントが詰まっている。これらを、小さな面積にどう配置するかを決めるのがフロアプランだ。
これまでAI(人工知能)にフロアプランを作成させる試みは行われて来たが、人間の技術者ほど効率的で省スペースなものは出来なかった。ところが最近、グーグルの研究者たちが、人の能力を楽々と超えるAIを開発。その詳細が学術誌「Nature」に論文として発表された。
人が数ヶ月かかるところを6時間で
開発されたAIは、強化学習(reinforcement learning)アルゴリズムという機械学習手法を用いたもの。人間の技術者なら数ヶ月かかるフロアプランの作成を、「6時間以下で」終わらせたとのことだ。論文にこう書かれている。
私たちが開発した手法(AI)で、熟練した技術者が作るフロアプランと同等か、それに勝るものを、6時間以下で生成できることを発表する。実用可能なフロアプランを作るのに、人の場合は数ヶ月かかる。
研究者たちは、コンポーネントを配置するチップをゲーム盤に見立て、各種のコンポーネントを駒として動かすゲームを想定したという。それをAIにやらせ、勝ち残ったものをフロアプランとして採用した。また、勝ち負けを決めるのに、既存の1万種のチップのフロアプランを参照したそうだ。
グーグルのチップですでに実用化
AIによるフロアプラン作成は、すでに実用化されているそうだ。グーグルの研究者であるAnna D Goldieさんが、こんなツイートをしている。
私たちの研究が「Nature」誌に掲載されたことをお知らせできて、興奮しています! 私たちの強化学習AIは、熟練した人が数ヶ月かかるチップのフロアプランを、数時間で生成します。人間を超えたこのフロアプランは、グーグルの最新のAIアクセラレーター(TPU-v5)に使われています。——Anna D Gokdie@annadgoldie
AIアクセラレーター TPU-v5は、AIを高速化するための装置(あるいはコンピュータシステム)。これはグーグル社内で使われているだけでなく、海外メディアによれば、現在、販売もされているとのこと。(了)
出典元:ZD Net:Google has used AI to gamify the design of computer chips(6/9)
出典元:MailOnline:Google’s artificial intelligence is designing computer chips in under SIX HOURS – something humans take MONTHS to do(6/10)