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中国が内陸でも領土拡大?ブータンとの国境で強引に道路建設を進め、インドとも対立

中国が内陸でも領土拡大?ブータンとの国境で強引に道路建設を進め、インドとも対立
flickr_Caleb See

国境問題を巡って中国とインド、ブータンの間で緊張が高まっている。

 

ブータン政府が中国に抗議

 

そもそものきっかけは6月に、中国の人民解放軍がブータンと領土の係争地域となっているドクラム高地で道路の建設工事を開始したこと。

 

これに対し、ブータン政府は6月29日、中国側に抗議。ベツォプ・ナムギャル駐インド大使は「インド国内の外交使節を通じ、中国に対して抗議の意を伝えた」と語り、中国の人民解放軍が行っている道路の建設工事を中止するよう要求したという。

 

さらにナムギャル氏は「ドクラムは係争地であり、ブータンは中国との間で、国境問題の最終的な解決を棚上げするとの合意を文書で交わしている。平和と安定は維持されるべきだ」と強調。道路建設について「2国間の合意に違反している」と述べたそうだ。

 

ブータンと中国の間に正式な外交関係は結ばれてはいないが、インドの首都ニューデリーに駐在する外交使節を通して接触が持たれている。

 

インドも中国の活動に抗議

 

これに先立ち、中国外務省は6月16日に「インド国境警備隊がシッキム地域の中印境界を超えて中国領に入り、ドクラム高地で中国国境部隊の通常の活動を妨害した」とインドに抗議していた。

 

これに対しインド外務省は声明で、同国軍の兵士が「中国の建設関係者に近寄り、現状を変えるのをやめるよう求めた」と説明。

 

さらにインド治安筋は中国軍が印北東部シッキム州に侵入し、塹壕2カ所を破壊したと明らかにした。

 

この混乱により、シッキム州から中国へ向かうヒンズー教の巡礼団が中国に入国を阻止されたという。

 

そのため与党のインド人民党に近い「世界ヒンズー協会」は6月28日、これを批判し、中国製品の不買運動を訴えたそうだ。

 

係争地の「ドクラム高地」とは?

 

ドクラム高地はブータンと中国の係争地。インド領ではないが、首都デリーと北東部の諸州を結ぶ回廊地帯に近く、インドにとっては重要な地域とされている。

 

南のインド主要部と北東部を結ぶ細長い「シリグリ回廊」に中国軍が侵入すれば、インドは東西に分断されるため、一帯は戦略的な地域になっているという。

 

またインドとブータンは歴史的に関係が深く、外交政策でもブータンはインドと緊密に協力している。またインドもブータンに支援を与え、軍を駐留させているそうだ。

 

インド外相「国際社会は自国を指示」

 

7月17日に中国は、この地域に近いチベット高原で実弾演習を行った。中国国営メディアによれば、目的は「こうした地点での戦闘能力」を高めるためだという。

 

さらに中国外務省の報道官は7月20日までに、定例記者会見で「状況がこれ以上エスカレートすることを避ける」ためとして、中国が領有を主張するドクラム高地からのインド軍部隊の撤収を求めた。

 

一方、インドのスシュマ・スワラジ外相は7月20日、中国と対立を繰り広げる国境問題において、国際社会が自国の立場を支持しているとの見解を示した。

 

スワラジ外相は領土係争地域をもし中国が奪取すれば、自国の安全が危険にさらされる可能性があると再度主張。インドの上院議会においても「インドの立場は間違っていないと、全ての国が理解している」と述べ、「正義はわれわれの側にある、これも他の全ての国から受け入れられている」と強調した。

 

また同外相は小国のブータンが中国に対し、「ブータン領内で道路建設を行ったことは直接の(条約)違反だ」と正式に抗議したことを受け、巨大な隣国である中国に屈することなく、「果敢な」態度を取っていると称賛している。(了)

 

出典元:AFP:ヒマラヤの小国ブータン、中国に果敢に立ち向かう 印外相が称賛(7/20)

出典元:CNN:中印、対立深まる ブータンの係争地めぐり応酬(7/20)

出典元:産経ニュース:インドの中国非難にブータン参戦 インドでは中国製品不買運動も(6/28)

出典元:AFP:ヒマラヤの小国ブータン、領土問題で中国に抗議(6/29)

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