イギリスのエリザベス女王が逝去、発表までの経緯とは?
イギリスの女王、エリザベス2世が9月8日(現地時間)、滞在先のスコットランド・バルモラル城で亡くなった。96歳だった。
死去発表までの経緯
9月8日12時30分、バッキンガム宮殿は、医師が女王の健康を懸念し、女王を医師の監視下に置くよう勧告したとの声明を発表した。
12時35分、下院議長のリンゼイ・ホイル卿は、討論中のスコットランド国民党のイアン・ブラックフォード氏の演説を中断し、国会議員に次のように述べたという。
「全議員を代表して申し上げますが、我々は女王陛下に最善の願いを送り、この瞬間も我々の思いと祈りは、女王と王室のご家族に捧げられています」
午後1時には、王室の高官たちが女王とチャールズ皇太子のもとへ向かうという報道がなされた。
世界中の政治家や指導者が女王の無事を祈る声明を出し始め、バッキンガム宮殿やウィンザー城などには一般市民が集まってきたそうだ。
午後4時30分、トラス新首相は、サイモン・ケース内閣官房長官から女王が死去したことを知らされる。
午後5時、ノースオルト空軍基地からスコットランドへの飛行の後、王室一家を乗せた車両がバルモラル城に到着するのが目撃された。
ウィリアム王子は「レンジローバー」のハンドルを握り、アンドリュー王子、エドワード王子とその妻、ウェセックス伯爵のソフィーも同乗しているのが目撃されたという。
午後6時30分、バッキンガム宮殿は、女王が96歳で亡くなったことを正式に発表。「女王は今日の午後、バルモラルにて安らかに息を引き取りました」と述べ、そのニュースはメディア各社によってイギリスと世界中に伝えられた。
The Queen died peacefully at Balmoral this afternoon.
The King and The Queen Consort will remain at Balmoral this evening and will return to London tomorrow. pic.twitter.com/VfxpXro22W
— The Royal Family (@RoyalFamily) September 8, 2022
18時40分、女王の死を告げる公報がバッキンガム宮殿の外に置かれ、そこにはすでに数時間前から大勢の人々が集まり、追悼の意を表し、花を供えていたという。また女王の死が発表される直前、バッキンガム宮殿の上空には二重の虹が現れたそうだ。
A double rainbow appeared above Buckingham Palace after the Queen’s death was announced. pic.twitter.com/1Hl80btr6X
— MeidasTouch (@MeidasTouch) September 8, 2022
Skies clearing over Buckingham Palace with the arrival of a double rainbow. Call me a sentimental fool but it looks like the sign of a heavenly reunion. pic.twitter.com/ywEy6dKDJP
— Crystal (@giggleandhugs) September 8, 2022
19時4分、バッキンガム宮殿は、チャールズ皇太子による君主としての最初の声明を発表。チャールズ皇太子は声明において、母親の死について次のように語った。
「私の最愛の母である女王陛下の死は、私と私の家族全員にとって最大の悲しみの瞬間です。私たちは、大切な君主と、多くの人に愛された母の死を深く悼みます」
A statement from His Majesty The King: pic.twitter.com/AnBiyZCher
— The Royal Family (@RoyalFamily) September 8, 2022
午後7時5分。ダウニング街(首相官邸)の外で、トラス首相は女王を「近代英国を築いた礎石」と称え、この国で最も長く君臨した君主への賛辞を述べたという。
さまざまな建物で半旗が掲げられる
女王の死を受け、バッキンガム宮殿では午後6時30分に半旗が掲げられた。またイギリスおよび英連邦のランドマーク的な建物でも、国旗が半旗に下ろされたという。
またフランス・パリにあるエッフェル塔は午前0時に消灯し、アメリカ・ニューヨークにあるエンパイア・ステートビルは、紫色にライトアップされた。
In tribute to Her Majesty Queen Elizabeth II, tonight, I will turn my lights off at midnight.#QueenElizabethII
— La tour Eiffel (@LaTourEiffel) September 8, 2022
すでにアメリカの歴代大統領らや、フランスのマクロン大統領、インドのモディ首相など、世界各国の指導者や元リーダー、政府が弔意を示している。
My thoughts and prayers are with the Royal Family and all the people Her Majesty inspired throughout her lifetime of service. pic.twitter.com/r5pjncyCu8
— Bill Clinton (@BillClinton) September 8, 2022
25歳で即位、激動の時代の女王
1952年2月6日に25歳の若さで女王に即位したエリザベス2世は、70年という在任期間を誇り、世界で最もよく知られた国家元首だったという。
数十年にわたる激動の時代に、君主制の舵取りを成功させ、より困難な時期には彼女の個人的な人気が支えとなったそうだ。
15人の首相が彼女に仕え、女王の並外れた知識、世界情勢に関する経験、政治的中立性の卓越性が証明された、と報じられている。
国葬が執り行われる予定
長男のチャールズ皇太子は直ちに国王となったが、正式な戴冠式はしばらく先となり、できるだけ早くセント・ジェームズ宮殿で行われる予定だという。
また女王の葬儀は、伝統に従って国葬とされる。国葬はほとんどの場合、君主にのみ許されているが、稀に「君主の命令」と「議会の投票」により、王室以外の著名な人物が対象になることもあった。
イギリスで最後に行われた国葬は1965年のチャーチル元首相のもので、君主の国葬は1952年の女王の父、ジョージ6世のものが最後となっている。(了)
出典元:The Guardian:Queen Elizabeth II dies: King Charles III expresses ‘greatest sadness’ upon passing of his mother in first statement as monarch – latest updates(9/8)