米がウクライナに、射程距離が2倍のロケット弾を供与へ
アメリカ政府は、ウクライナへの新たな軍事支援策を発表し、その中に長射程のロケット弾が含まれることになった。
GLSDBの供与を発表
アメリカ政府は2月3日、ウクライナへの新たな軍事支援策を発表。総額、21億7500万ドル(約2850億円)以上に及ぶことを明らかにした。
また今回の支援の中には、これまでより約2倍の射程を誇るロケット弾が含まれるという。
アメリカ軍のパトリック・ライダー准将は、ウクライナ安全保障支援構想(USAI)の一環として、地上発射型小口径爆弾(Ground Launched Small Diameter Bomb:GLSDB)がウクライナに提供されると、記者会見で語った。
クリミアの一部も射程範囲に
GLSDBの射程は151キロ。ウクライナが現在使っている誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)は77kmの射程距離となるため、GLSDBを使えば、約2倍も攻撃範囲が広くなる。
GLSDBは、ウクライナ東部にあるロシア軍のすべての補給線と、ロシアが占領しているクリミアの一部を射程に収めることができるという。
これによりロシア軍は、前線から遠く離れた場所に物資を運ばざるを得なくなり、兵士はより脆弱となり、新たな攻撃計画が複雑になる可能性が出てきた。
一度に10のターゲットを迎撃可能
一方、フランス国防省は2月3日、共同で2023年春にウクライナへSAMP/T防空システムを提供するため、イタリアとの技術的な話し合いを終えたと発表した。
すでにイタリアのアントニオ・タヤーニ外相は2月2日、SAMP/Tシステムがウクライナで7~8週間以内に運用開始されると述べていた。
SAMP/Tは数十のターゲットを追跡し、一度に10の標的を迎撃することができるという。またヨーロッパ製で弾道ミサイルを迎撃できるのは、このシステムだけと言われている。
「バフムトを手放さない」
ウクライナのゼレンスキー大統領は2月3日、EUのウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長、チャールズ・ミシェル理事会議長と会談。
会談後の記者会見で、ロシア軍の攻撃が続くウクライナ東部の都市、バフムトのために「できる限り戦い続ける」と述べ、この「要塞」都市を「誰も手放さない」と明言した。
また武器供与、特に長距離兵器の供給が「迅速化」されれば、ロシア占領下のドンバス地方を解放し始めることができるだろう、との見通しを示した。(了)
出典元;The Guardian:New US military package includes rocket-powered bomb to double Ukraine’s strike range – as it happened(2/3)