フランスの新聞社で極右編集長が就任、スタッフがストライキを行う
フランスの新聞の編集長に、極右思想の人物が任命され、スタッフなどがストライキを行った。
ストライキで新聞を発行できず
その新聞とは、「ル・ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Le Journal du Dimanche)」だ。
この新聞は、フランスの重要な日曜紙と見なされており、政権に関係なく、政治家へのインタビューや政府の政策に対する内部見解を掲載することで知られる、主流紙とされている。
しかしその編集長に、以前極右雑誌に勤務していたジェフロワ・ルジューヌ氏が就任。これに抗議するためスタッフがストライキを行い、先週の日曜日には新聞が発行されなかったという。
またこの編集長に抗議するため、俳優や小説家、左翼政治家らも、大規模なストライキに賛同する声を上げたそうだ。
人種差別的な記事を掲載
ルジューヌ氏は34歳で、以前は「Valeurs Actuelles」という雑誌の編集に携わっていたという。
そしてルジューヌ氏が編集長を務めていた2021年、黒人議員ダニエーレ・オボノ氏を鎖につながれた奴隷として描いた記事を掲載したそうだ。
その後、同誌は人種差別的な侮辱を行ったとして罰金を科せられたとか。
またルジューヌ氏の編集長時代、「Valeurs Actuelles」は極右の元テレビ評論家、エリック・ゼムール氏の大統領選出馬を支持したという。
ルジューヌ氏はまた、極右指導者マリーヌ・ルペン氏の姪である、マリオン・マレシャル氏とも長年の友人とされている。
俳優や映画監督など100人も抗議
有力紙「ル・モンド」への公開書簡では、「解放以来フランスで初めて、全国的な大メディアが極右的な人物によって運営されることになる。これは危険な前例であり、私たちすべてに関わることです」と述べられていた。
この公開書簡には、ラッパーでプロデューサーのジョーイ・スター氏、俳優のデニス(ドゥニ)・メノーシェ氏とマチュー・アマルリック氏、映画監督のニコール・ガルシア氏、歴史家、学者、パリ市長のアンヌ・イダルゴ氏を含む左派の政治家など、数百人が署名したという。
この新聞社は、保守的な傾向を持つ富豪のVincent Bolloré氏によって買収されることが決まっており、今回の編集長就任も、背景にそれがあると考えられている。(了)
出典元:The Guardian:French newspaper staff strike after ‘far-right personality’ made editor(6/27)