イスラエルのネタニヤフ首相、紛争後「無期限」にガザ地区を統治すると示唆
イスラエルのネタニヤフ首相は11月6日、アメリカのメディア「ABC News」の番組のインタビューに答え、紛争後にはガザ地区を実質的に統治すると示唆した。
「戦闘の一時休止」を検討する可能性
ネタニヤフ首相は6日放送の番組において、まずガザ地区への支援物資の搬入や、人質の脱出を可能にするために、少しの間「戦闘の一時休止」を検討するかもしれないと述べた。
しかし同時に、「停戦」の可能性については再び拒否。「人質の解放なくして停戦なし」と語ったという。
また「ハマス」との戦闘終結後、イスラエルがガザを「無期限」統治する可能性があると示唆した。
EXCLUSIVE: @DavidMuir interviews Israeli PM Netanyahu, pressing him on the Biden administration’s calls for a humanitarian pause in Gaza as the death toll climbs; if he bears responsibility for intelligence failures on Oct. 7; and more. https://t.co/zjSKIi5FJF pic.twitter.com/LydTy5XtZf
— World News Tonight (@ABCWorldNews) November 7, 2023
ガザに対する安全保障の責任を負う
ABC Newsのキャスター、David Muir氏はインタビューにおいて、ジョー・バイデン大統領が以前、イスラエルがガザを占領するのは「間違い」だと述べたことに言及。その上で、ネタニヤフ首相に対して、「戦闘が終わったら誰がこの地域を統治すべきか」と尋ねた。
するとネタニヤフ首相は、「イスラエルは戦闘終結後、無期限にガザに対する安全保障の責任を負う可能性がある」とし、次のように語ったという。
「私は、イスラエルが無期限に安全保障全体の責任を負うことになると思います。なぜなら、私たちがその責任を持たなかった場合、何が起こるかを見てきたからです。 私たちが安全保障の責任を負わなかった場合、私たちが目にするのは、想像もできない規模によるハマスのテロの勃発だけです」
一方、アメリカ政府は、ヨルダン川西岸地区を管理するパレスチナ自治政府が、ガザ地区での責任を負うべきだと主張してきた。
「イスラエル史上最も右寄りの内閣」
ネタニヤフ首相は、2005年12月から再び、右派政党「リクード」の党首になり、一時期首相の座から降ろされるも、すでに約15年もの間、首相を務めてきた。
「リクード」は大イスラエル主義を掲げ、旧約聖書に書かれている、神がユダヤ人に与えるとした「約束の地」を得るために、領土拡大を目指してきたという。
このためパレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸地区でも、入植活動を行い、事実上占領を進めてきた。
また2023年1月に発足したネタニヤフ政権には、極右政党の「宗教シオニズム」や「ユダヤの力」から多くの閣僚が入閣しており、「イスラエル史上最も右寄りの内閣」と呼ばれていた。
この連立政権の発足後、ネタニヤフ首相は、イスラエルが違法に占領するヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地を承認することで合意し、パレスチナへの強硬姿勢を見せてきた。
このようなイスラエル政治の右傾化には国内の反対派だけでなく、アラブ諸国や、イスラエルを支持してきたアメリカからも懸念の声が上がっていたという。
アメリカのバイデン米大統領も、将来のパレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」を支持し、ヨルダン川西岸地区への入植活動に反対してきたそうだ。
現在、「ハマス」を掃討するため、イスラエル軍はガザ地区に対し、無差別攻撃を繰り返しているが、ガザの保健当局によれば、これまでに4237人の子供を含む、1万328人のパレスチナ人が殺害されたという。(了)
出典元:The Guardian:Israel-Hamas war live: IDF says forces ‘fighting in the heart of Gaza City’ as WHO chief urges humanitarian ceasefire(11/7)