65年の間にさらに巨大化したゴジラ、その早すぎる“進化”の理由が科学的に説明される
今年で生誕65周年を迎え、ハリウッド版の最新作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』も公開されているゴジラ。
しかし初めてスクリーンに登場した際に身長50メートルであったゴジラは、今やその2倍以上となる120メートルの巨体を誇っている。
このようにゴジラが急激な“進化”を遂げた理由について、研究者が科学的視点から考察を加え話題となっている。
急激な進化は国際情勢における不安定さの結果か
この研究を明らかとしたのは、米国ニューハンプシャー州のダートマス大学に所属する研究者Nathaniel Dominy氏とRyan Calsbeek氏の二人だ。
Dominy氏らはまずゴジラが現実に存在した生物であった場合、ケラトサウルス科に属する恐竜であると共に、個体数の減少などにより化石から消えて絶滅したかのように見える一方で、後に再び出現する生物の分類単位であるラザルス分類群と呼ばれる生物群に属すると指摘。
その上で、文化的背景に起因する不安や軍事的侵略、人類の一般的な無謀さがゴジラの急激な進化を後押しした、などとした。
これについて両研究者は、“ゴジラは人類の共有する不安が急上昇するのに呼応し、発達している”と説明。
“地政学的な不安定さやテロリストからの脅威、あるいは他者に対する単なる恐れから、多くの民主主義国家が国粋主義者の指導者を選出、国境の強化、そして世界における軍事的存在感を高めている”とし、これらがゴジラの進化を早めることにつながったとの見方を示した。
さらにDominy氏らは、ゴジラが脊椎動物の中においてはシーラカンスに次ぎ進化を止めた“驚異的な事例”であるとした一方で、“ゴジラの形態学上の近年における変化は劇的なものであった”とコメント。
この進化速度は、地球上に存在する他の生命体と比較して30倍も速いものであるという。
人類に気付きをもたらすゴジラ
Dominy氏らは一方で、“人類の共有する不安が急上昇”した背景として、海面の上昇や人の健康、さらには水や食料の保障にまで影響を与えることとなる気候変動の存在も挙げる。
“それが核爆弾、あるいは気候変動といったどんな種類のものであれ、我々が共通の文化として恐れる存在の脅威に対し、ゴジラはこれまでになく有益な象徴となっている”と指摘している。
他方で“ゴジラのほぼ無敵に近い強さは、人類に対してそれに打ち勝つため共に戦わなければならないという気付きを、結果としてほぼ毎回のようににもたらしてきた”ともするDominy氏ら。
社会がゴジラ映画を通して“国や分野、政党の路線を超え、今が協力の時である”ことを学ぶことが出来るとし、それが“我々が今日直面する恐ろしい存在の脅威を軽減する、我々の唯一の希望である”と共に、“したがってゴジラは象徴である以上に、現代への戒めを含む寓話である”と結論付けた。
科学者らがゴジラの急激な進化の理由を説いた今回の研究結果。
ちなみに1954年に公開された初のゴジラ作品においては、同作においてキーパーソンを務めた山根恭平博士が、「人類が核実験を続ければ、きっと第二・第三のゴジラが現れるだろう」との見方を示している。
核軍縮が遅々として進まない現代において、人類が抱える様々な脅威、中でも政情不安がゴジラの核実験による誕生のみならず、その進化にまで影響を及ぼしていたとは、なんだか考えさせられる気がする。(了)
出典:Medical Daily:How Godzilla Became A Giant According To Science(6/11)
出典:Live Science:Godzilla Grew 30 Times Faster Than Any Organism on Earth. Here’s Why.(6/4)
出典:SYFY WIRE:How science says Godzilla really got to be such a behemoth (6/10)
出典:pixiv百科事典:山根恭平